ドリーム小説

「ちょっと待てよ!!」





「は!?何よ!!」





友達から恋人へ











 ただいま、この私、は絡まれています。えぇ、何故か分かりませんがあの天下の跡部景吾に。それも突然です・・・とは言いません。それは、原因が分かっているから。跡部に腕を掴まれたまま黙っていると跡部がまた怒鳴ってきた。
「おい『何よ』ってのはないだろうが!」
「突然女子の腕を掴んで言う一言にはぴったりよ!」
私も負けずに反論してみると、跡部の眉間にしわが寄ったのが分かった。折角の綺麗な顔なのに・・・。
「・・・ちっ・・・ちょっと来い」
「ぅわ!跡部!!これから私帰るんだけど!」
「いいから黙って来い!!」
問答無用的な言い方で私は何処かへ引き摺られた。ことの発端はきっとあの一週間前のことだろう・・・。


























 一週間前、私はいつもみたいに跡部のクラスに遊びに行った。
「跡部居るー?」
そんな風に声をかけると跡部はいつも不機嫌そうな顔を向けて。
「何だよ?」
って一言だけ言う。跡部がこんな風に返事をしてくれるのは、きっと私が跡部の友達だからだ。


 私と跡部は一・二年と一緒のクラスで席も近かったのだ。その上、私は性格が一般女子みたいに大人しいとかじゃなくて、男子と昼休みにサッカーをしたりする活発・・・ってか、男勝りな性格。だから跡部は私を『女の子』とは意識しないで接することができるから友達になれたのだ。跡部が忍足クン達と居るときと同じような態度を取るのがいい証拠だ。まぁ、私も跡部と張り合ったりしてる時楽しいからいいんだけどね♪それに・・・私は跡部が好きだし。今、此処で忍足クンの名前を出したのは跡部に対しての恋愛相談によく乗ってもらってるからなのだ!





「おい、何の用なんだよ?」





 私が考えていると、跡部が私の頭を軽く叩いてきた。

「狽いたっ!」

「んな強く殴ってねーってんだよ」

「うぅ・・・か弱い一般女子に向かって・・・」

「お前の何処がか弱いんだって・・・で、用は?」



 流石に此処まではっきり言われるとちょっとショックかも・・・っと、それよりも大事な用事!!



「跡部!あんたのクラス、もう英語のLESSON2終わったよね?」



「英語の・・・あぁ、あそこならさっきの時間・・・」



「なら話は早い!あそこの長文の・・・」



「却下」



「(◎□◎;)返事早ッ!!」



 そうツッコミを入れると、跡部が呆れながら言う。
「お前なぁ・・・どうせノート貸せとか言うんだろ?俺の見たってお前の勉強にならねぇじゃねーか」
「で・・・でも・・・本当は今日当たるはずじゃなかったのに私の二つ前の子が休んで私のところまで来ることになっちゃって〜!!」
必死に頼み込んでみた。跡部は相変わらず呆れ顔。というか、少しキレ気味。これ以上はやばいかな?と思ったら。





















「なんや、跡部とちゃんやないか?」























 関西弁はこいつしかいない!と思って何の躊躇いもなく名前を呼んだ。
「忍足クン!!」
ちゃん、ホンマに跡部と一緒におるな?」
「ん〜、今回は特別にいるんだよ♪」
「英語のノート貸してほしいんだとよ」
「跡部!早くノート貸せ!!」
「だから、嫌だっつーんだよ!」
「あ〜・・・お前等少し落ち着きぃな;」
見かねたのか、忍足クンが私と跡部の間に入ってきた。そのまま忍足クンは私の方に顔を向けてきた。



「なぁ、そんなに貸して欲しいんなら俺が貸したろか?」


「本当!?」


「なっ・・・」



 ちょっと跡部が何か言いそうだったけど、忍足クンが跡部の口を塞いで聞こえなかった。けど、それよりも目先の餌!!(←何か違う)
「貸してくれるの?」
「えぇよ♪俺は予習してあるからLESSON3までは終わっとるけど・・・」
「十分よ!貸して!!」
「せやったら今から持ってくるから待っとき?」
私は『ラジャー!』と敬礼のポーズをし忍足クンを見送った。忍足クン優しくていいなぁ♪



「おい、



 突然跡部が話しかけてきて驚いたけど、そのまま素直に返事をした。

























「何?」



「お前・・・忍足のこと、好きか?」



「・・・・・・は?」



























 いきなり何を言い出すんだ、この帝王は!忍足クン・・・優しいし、相談に乗ってくれるし、跡部と私の喧嘩の仲裁に入ってきて私達三人良いトリオだと思うし・・・うん、好きかも。



「どうなんだ?」

「うん、好きだよ♪」



 私はこの三人でいる空気が好き。それは、忍足クンのことも跡部のことも好きだからできる空気なんだと思ったから。私はそれを説明するのが恥ずかしくて簡潔に答えた。すると、何も反応をしてこない跡部。何かあったのか?と私は跡部の顔を覗き込むと・・・。

























「・・・ぇ・・・?」










何で?何で私を睨むの??















「跡部・・・どうかしたの?」





 私が跡部の腕を掴もうとしたら簡単に振り払われた。今までこんなことなかったのに。私は不安になってもう一度跡部に話しかけた。










「ねぇ、あと・・・」

























「もう俺に話しかけるな」



























 静かに言った一言。確かに聞こえた・・・『もう俺に話しかけるな』?何・・・私、何かしたの!?もう一度跡部に話しかけようにも私を睨んできたあの目を思い出して声が出ない。遠くなっていく跡部の姿が見えてるのに足が動かない。いきなり過ぎて何が何だかわからない・・・。



「・・・ちゃん?」



 後ろから声をかけられて肩がビクッと上がってしまった。振り向くと、忍足クンがノートを持って帰ってきた。
「ぁ・・・忍足クン・・・」
「・・・どないしたん?跡部と何かあったんか?」
私、今どんな顔してるんだろう。忍足クンに一発で見抜かれた。私はいつもみたいに話をしようと思ったけど、今日に限って声が出ない。あのときの跡部を思い出すのが怖くて。そんな自分が悔しくて手を握ると、その様子を悟ってくれた忍足クンが私の背中を押して跡部の教室を離れようとした。
「あの・・・忍足クン・・・?」
「えぇから。そんな状況やったら授業にもならへんやろ?そろそろ昼休みも終わりやし。先生がやってきよったら授業抜けられへんやん。話、聞いたるから」
忍足クンの優しさが嬉しくて頷いた。私はもう一度跡部の方を見ると、今度は驚いた顔をしたような気がしたけど・・・前が少し霞んでて分からなかった。

























 私はその後、屋上で忍足クンに全部話した。忍足クンはそれを黙って聞いてくれた。タオルを目元に当てながら一生懸命、途切れ途切れの話を。全部話し終わると、しばらくの沈黙の後に忍足クンが口を開けた。





「よかったやん」





 何がだろうか。即そう思った。
「な・・・何が?私・・・跡部、に、睨まれたのに・・・今までそんなこと、なかったのに・・・」
「それは、跡部にもちゃんにも進歩があったっちゅーことやからや」
「進歩・・・?」
聞き返すと、忍足クンは笑顔で頷いた。
「せや。今までのちゃんの話を聞いとったら、跡部への気持ち、ホンマもんやないってわかったんや」
「気持ち?」
「今までは『跡部カッコイイ』『今日はこんなことはなした』みたいなことでミーハーな気持ちが混じっとったんや。せやけど、今はどうや?こんなに胸動くことあらへんかったやろ?」
言われてみて今までの付き合いを思い出してみた。確かに、今までは軽い気持ちだったかもしれない。跡部と居られるなら男友達でもいいと思った、今は?
ちゃん、男友達に見られて今はどう思うんや?」
















『お前の何処がか弱いんだって・・・』
















 あの一言・・・確かに胸がズキッとした。嫌だと思った。私もほかの事同じ女子なんだって思って欲しかった。もっと・・・もっと・・・。











「私・・・跡部にちゃんと『女の子』としてみてもらいたいよぉ・・・」











 そう思ったら急に涙が溢れてきた。言葉の最後のほうはもう涙声で聞きづらかったかもしれない。けど、そんなことを気にする余裕がなかった。跡部はどうやったら私を女の子としてみてくれるのか、どうやったら私は跡部の男友達から女友達に変われるのか・・・そればかりが頭に浮かんできた。
「忍足クン・・・私、どうすればいいの?」
「・・・ちゃん・・・」
忍足クンが私の背中を撫でて落ち着かせてくれた。



「ねぇ・・・」

「そんなん簡単なことや。ちゃん、跡部に告白したらえぇねん」

「わ・・・私が・・・跡部に告白・・・!?」

「せや。ちゃんの気持ちを知ってもらうにはそれが一番やろ」

「けど・・・跡部がそんなこと知ったら今の関係が崩れちゃう・・・」

「・・・今の関係は逆にちゃんを苦しめとるんやで?」

「・・・」



 私は少し考え込んでしまった。その様子を見ていた忍足クンは急に立ち上がった。
「ま、それを決めるんはちゃん本人や。俺が言えるんは此処までや」
「忍足クン・・・」
「頑張るんやで!」
屋上の入り口でそう言ってくれた。忍足クンが居なくなって私は一人空を見上げて考えた。















今のままでいいの?





私はそれで満足?





何も意識されないのは辛い











だったら・・・



















私は心に誓うために決意の言葉を口に出した。

























「跡部に・・・好きだって言おう」



























 どんな結果になってもいい。私の気持ちはもう変わらないから。

























 と、決意したのが一週間前なのだ。次の日からは気持ちを切り替えていつもの私に戻った。男子とも遊ぶし、忍足クンとも話す。けど・・・跡部とは顔すら合わせられなかった。決意したのに心の中でまだ恐れている。友達の関係が壊れるのを。早く言わなきゃと思いながらも言えない。そんな状況を次の日、そのまた次の日と伸ばしていくうちに一週間が過ぎていた。それは、跡部と話さなくなって一週間ということでもあった。流石の私もめげそうになりながら、この日も跡部と会わずに帰ろうとしていた・・・が。





「ちょっと待てよ!!」





 という風に跡部に引き止められた。跡部は、私をテニス部室に引っ張ってきて乱暴に部室のソファに座らせた。
「・・・って、痛いじゃない!!」
私は跡部の様子が違っていることに恐れながらもいつもの調子で反抗してみた。跡部もいつもの調子で返してくると思ったけど。
















「お前、どういうつもりだよ?」















 低い声で私を睨んできた。そう、一週間前のあの目と同じ。私は反射的に涙が出そうだったが、すぐに視線を逸らして涙を耐えた。





「な・・・何がよ?」

「何で俺を避けるんだよ?」

「避けてなんか・・・」

「避けてねぇなんて言わせねーからな?」





―ガチャン―
何の音か分からなくて顔を上げたら跡部は出口のドアに居て、私は鍵をかけられたんだと分かった。
「ぁ、とべ?何で鍵かけたの・・・?」
私は怖くて声が少し掠れてた。跡部はゆっくり私のところに向かってきて・・・。





「お前が逃げねぇようにだよ」

「な・・・何でそんなことするの!?」

「それよりも、さっきの質問に答えろ」

「冗談じゃない!跡部、様子おかしいよ!?」

「様子がおかしいのはお前じゃねーか!!」





 怒鳴った跡部が私の肩を抑えながらソファーに倒れこんだ。そのため私は下から跡部を見上げる形になった。思考がそこまで把握すると、慌てて退かそうとした。



「跡部!!何で上に居るのよ!!」

「・・・」

「っ!ゃ・・・退いてよ!跡部!!ヤダ!忍足ク・・・!!」

「うるせぇ!」



 その一言にビクッとして私の身体は固まった。跡部は静かになったのを確認してから話をしてきた。

























「お前・・・忍足がそんなに好きなのか?」



「・・・ぇ?」



























 思わぬ言葉に驚いて目を丸くする。それに構わず跡部は話を続けた。



「一週間前、俺が忍足が好きか聞いた時、二人で何処かに行ったよな?授業に出る様子じゃねーし・・・で、その次の日からお前が俺を避けるようになった」

「跡部・・・?」

「それはお前が忍足と付き合うことになったか?」

「っ違・・・!」





「じゃあ、何で俺だけを避けて忍足とは普通に話してるんだよ!!」





 跡部がまた声を張り上げて聞いてきた。何で?どうして忍足クンが出てくるの?私は・・・私が好きなのは跡部だけなのに・・・この気持ちが自分で分かってるのに跡部に伝わらないことがイラついた。何て自分勝手な言い分だろうと思うけど、今はそんなこと考えられなかった。気付かずに私の目から涙が溢れてきた。





「・・・?」

「ど・・・してぇ?何で跡部・・・怒ってばかりなの!?」





 私は溢れる涙を止めようと目を擦る。





「一週間前、に・・・跡部が、私に聞いてきて・・・私はそれに答えただけなのに・・・なんで睨まれるのぉ!?何で話しかけるななんて言うのよ!!」










 もう止まらなかった。一週間分の涙と気持ちが爆発してしまった。










「私があの日からどれだけ苦しんだと思うの!?跡部、私のこと女の子としてみてないし、男友達扱いだし!!そんな私達なのに・・・今になって私、跡部のこと本気で好きだなんて気付いたの!私、跡部が好きなの!!だから、あの日みたいに思うなら・・・もう・・・こんな風に私に関わらないでよ!!」



 言い切った後は涙が溢れて声を出して泣いてしまった。跡部はそのまま私を押し倒した状態で黙っている。こんな顔を見られたくないのでまた私は跡部を退かそうともがいた。





「もう退いて!跡部なんて嫌い!」

「な・・・?」

「跡部なんて嫌い嫌い、大嫌い!!何を思ってるかわかんないもん!だから・・・だから私は跡部なんてもうキラ・・・っ!」





 私が『嫌い』と言おうとしたら何かに口を塞がれた。それは、跡部の手かと思ったら違う。だって、こんなに跡部の顔が近い・・・もしかして・・・・・・キス!?





「っん・・・んんー!!」





 跡部の胸を叩くとやっと口を離してくれた。その頃にはもう私は酸欠気味で肩で息をしていた。










「ちょ・・・何すんの・・・」



「お前こそ俺の気持ち分かれよ!!」










 今度は跡部が声を張り上げた。



「何で忍足が好きか聞いたかだと?んなの、好きな女が俺以外の奴と楽しそうに話してたら気になるだろうが!!」

「ぁとべ・・・?」



 何?今、好きな女って・・・?





「違うって否定するかと思ったらあっさり好きだって言うし、その後忍足と何処か行くし、次の日からは忍足とばかり話しやがって・・・あの一週間前以前からもだ!俺に黙って忍足と二人きりになりやがって・・・」

「跡部、それは・・・」

「俺は!今までお前が好きなのは忍足なんだって思ったら急にイラついてムカついて・・・けど、その後から話さなくなったらそれ以上にイラついたんだよ!で、今お前が俺が好きだって言って・・・正直嬉しかった・・・んだよ・・・」





これは・・・もしかしなくても・・・。





「跡部・・・私、跡部が私のこと好きだって自惚れてもいい・・・?」

「自惚れも何も、俺はお前が好きなんだよ」

「もう私は男友達じゃないよね?」

「あぁ、お前は俺の好きな女だ」

「・・・私、一般の女子でいいよね・・・」

「いや、違うな。お前は・・・」





 跡部はそこで言葉を切って私にもう一度キスをした。唇を離して見たことのないほど優しい笑顔で言ってくれた。
















「お前は俺の大事なたった一人の女だよ」

























もう私と跡部は



『男友達』じゃないよね



今日から私と跡部は・・・











『恋人』になるんだよね




















「それとお前・・・」

「何?」

「もう忍足と話すなよ?」




















かなり嫉妬深い彼氏





かなり男勝りな彼女






この日をきっかけに変わりました















『友達から恋人へ』と
―――・・・





















あとがき
 テニプリ…跡部夢でした〜。
えぇと…やはり、オレは跡部よりも忍足が好きなんでしょうか…?
忍足の方が多く出演しているように見えるのは…(←気のせい気のせい)
                                  2005.03.15



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