ドリーム小説

創る者・壊す者 ―Vol.1―



 まだ雨が続いていた。は憂鬱になりそうになりながらも東方司令部へ向かった。





「よう、!」





 雨のどんよりした空気をかき消すかのような元気な声。それは、にとって馴染みのある声だったのですぐに振り向いた。
「ヒューズじゃない。どうしたの?東方司令部に来たりして」
そう、ヒューズとは仲が良かったのだ。がセントラルにいた頃、よく家族のことや仕事について、それに人間関係にいたってまで教えてくれたからだった。
「まぁ、仕事でね」
「仕事?この東方司令部に来てまで?」
「あぁ・・・まぁね」
そう言いながらとヒューズはロイやハボックがいる仕事部屋へ向かった。その途中、色々なことを話した。また家族のことや、近況報告などなど。

























―ガチャ―
「よ。来てやったぜ」
ヒューズはドアを開けるなり、元気よく挨拶をした。このあたりがヒューズらしくてh心のどこかがほっとした。
「ヒューズ・・・遅いぞ」
その声に答えたのはロイだった。それでもお構い無しにヒューズはロイの側まで行った。
「それよりロイ、タッカー氏の身柄を引き取りに来たぞ。あ、アームストロング少佐は現場に向かったらしいからな」
タッカー氏・・・その言葉には身体を強張らせた。嫌な記憶が鮮明に流れてきた。
「全く・・・さっさと行くぞ」
ロイが溜息を付きながらヒューズの前を歩き始めた。
「ね・・・ねぇ!」
は突然声を出してロイ達を止めた。ロイは驚いてに振り向いた。
、どうかしたのか?」
「私も・・・私もタッカー氏のところへ行かせて!」
「な・・・君もだって?」
、何かあるのか?」
ロイに続き、ヒューズも質問をした。
「ちょっと・・・タッカー氏に言いたいことがあるの・・・」
何かを決意したみたいなの瞳がロイとヒューズに向けられた。二人は、この強い瞳に弱く、顔を合わせて仕方がない、とに向けて手招きをする。は少し嬉しそうに駆け寄った。だが、ロイは一層に顔を顰めた。































 「・・・どういうこと・・・!?」
タッカー氏の家へ到着した達の目の前には、血の海となった部屋・・・そして、その中心には・・・誰かがシーツを掛けられて倒れていた。この光景は・・・。
「おいおいマスタング大佐さんよ・・・俺ぁ生きてるタッカー氏を引き取りに来たんだが・・・」
そう、もすぐにわかった。それが誰でどんな状況なのかを・・・。

























「死体連れて帰って裁判にかけろってのか?」



























 タッカー氏はし死亡していた。まぁ、は戦場に出ていたため、何とも思わなかったが、まだ慣れてない新米さんなどは外へ出て警備に専念していた。
「ったくよー、俺たちゃ検死するためにわざわざ中央から出向いて来たんじゃねえっつーの」
「こっちの落ち度はわかっているよヒューズ中佐。とにかく見てくれ」
ロイは額に手を当てながら顔を顰めて言った。当然だろう。この家には軍人が警備に当たっていたのにその内部で殺人があったのだから。ヒューズは何かをぼやきながらそのシーツを捲った。アームストロングもヒューズと一緒にその状態を見ていた。は、別のことを考えていた。










「こんな・・・死体に何を言えってのよ・・・」
心の中でどうしてあんなことをしたのか、どうしてあんなことを言ったのかなど、色々問い詰めようと思っていたからだ。それが、思わぬことになってしまってはこの蟠りをどう処理したらいいのかわからなくなっていた。

























「・・・あぁ、そうだ。まるで内側から破壊されたようにバラバラだよ」







え・・・?内側から破壊・・・!?

























 の耳にそんなロイの声が聞こえた。それを聞いてヒューズとアームストロングは顔を合わせてからこう言った。
「どうだ、アームストロング少佐」
「えぇ、間違いありませんな」
私もそんな死体をセントラルにいた頃、よく聞いたことがあった。だからすぐにわかったのだ。































「“奴”です」

































「『傷の男』?」






 ロイはヒューズが言ったことをそのまま聞き返した。
「あぁ。素性がわからんから俺達はそう呼んでる」
「素性どころか、武器も目的も不明にして神出鬼没」
ヒューズの後にアームストロングも説明を始めた。そして、そのままアームストロングは自分の指を額に当てながら続けた。
「ただ、額に大きな傷があるらしいということくらいしか情報がないのです」
もそのくらいしか知らなかったので何も言わずに部屋を見回していた。

























 『傷の男』・・・本当に何もわかっていない。どうやって人体の内側から破壊できるのだろうか?どうして武器は出てこない?そして、狙う人物は国家錬金術師ばかりだ。確か、中央では5人。そして、国内では10人が殺されている。最近では、グラン准将までもが殺されているのだ。あの軍隊格闘の達人の・・・。も中央にいたとき、大総統の命令でよく護衛がついていたな。正直な話、にとっては凄く有難迷惑な話だった。それは、の貴重な一人の時間が減ってしまうからだ。だが、大総統が命令をして自分を守らせていたのでいらないとは言えない。





「ま、ここらで有名どころと言ったらタッカーとあとはお前さんだけだろ?」
「ヒューズ中佐、大将もです」
「あぁわかってるって♪」
ヒューズは真剣な顔から少し冗談交じりの笑顔をアームストロングに向けていた。

























―ここいらで有名どころ・・・―












 本当に此処にいる二人だけ?違う・・・他にもいるはず・・・
は、思考を巡らせて考えていた。中央に来てから出会った人達を思い出す・・・そして見つけた。






























「・・・!!エド・・・!!」





がそう言うと同時にロイも慌て始めた。
「まずいな・・・エルリック兄弟がまだ宿にいるか確認しろ、至急だ!」
「あ、大佐。私が司令部に出る時に会いました。そのまま大通りに向かって歩いて行ったのまでは見ています」
それじゃ駄目なのに・・・は、焦る気持ちを抑えながらもタッカー氏の家を出た。
「こんな時に・・・!!」
ロイはが出て行ったということもあり、大声で命令をした。





「車を出せ!手のあいてる者は全員大通方面だ!!」
































外は雨・・・





これから起こる惨劇を嘆くかのような雫・・・



























あとがき
 …;
すみません…先程更新したばかりなのですが…。
第二話を書いていたらそちらも予想以上に短かったので第一話とつなげてしまいました。
そして…更新したばかりでもし読んでくださった方がいましたら本当に申し訳ありません。
こんな計画性の無い管理人で…本当に…(涙)
                                  2004.09.17


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