ドリーム小説

創る者・壊す者 ―Vol.5―



 水でできた虎と不敵に笑う国家錬金術師を見据えるスカーは再び戦闘体勢に入った。
「貴様が何者であろうが・・・我は貴様等錬金術師を・・・滅ぼす!!」
言いながら攻撃を仕掛けてくるスカー。そんな様子を見ては溜息を一つ付いて手を合わせる。
「だったら・・・こっちも力ずくだ!!」
合わせた手を水の虎に当てて錬成する。すると、虎は狙いを定めてスカーを襲い始めた。

























 やっとのことでマンホールへと辿り着き、静かに下りる。
「随分と遠いところに来たものだ」
「そうですね・・・」
「ですが、大将が心配です」
ロイの言葉の後にビゼクト・アキストの二人が一言ずつ呟いた。
「私が・・・必ずを助けるさ・・・」
何かを決意してロイは二人に行くぞ、と指示をして歩き始めた。何処までも続くかと思うように長い道。だが・・・。





















―グゥオオォォォオオ!!―























 何かが聞こえた。
「なっ・・・!?」
「これは・・・まさか!!」
憲兵二人はその『何か』に震えていたが、ロイだけは違っていた。この感じ、この声・・・遠い昔に聞いたことがあったのだ。
「くそっ・・・遅かったか!!」
突然走り出したロイに驚いてアキストが聞いた。
「どうかしましたか、マスタング大佐!?」



「どうしたじゃない・・・今のはの錬金術だ!!」



 走りながら答えるロイの声は怒りも悲しみも含まれているように聞こえた。憲兵二人は今のロイの声を聞いて何を思ったのか、急に黙り始めた。

























 「どうしたの?先程よりも動きが鈍っているようにも思えるけど?」
は虎を操作しながらスカーに言う。
「・・・」
スカーは、先程から何度も『分解』をしているが、此処は地下水道。水ならいくらでもあったので何度も錬成をされていて何かと苦戦していた。
「私のリヴァイアサンにすら勝てないのか?」
わざと楽しそうに言ってみる。案の定、スカーはを睨んでまたリヴァイアサンと呼ばれた虎を『分解』する。バシャっという音と共に水しぶきが上がる。息切れしたスカーを見ては一旦攻撃を止めた。
「・・・スカー、もう力の差は歴然。これ以上抵抗をしても貴方は私には勝てない」
「それでも・・・我は貴様等を滅ぼすのだ!!」
「まだわからないの?」
呆れたようには肩をすくめると、スカーは再び・・・今度は目掛けて攻撃を仕掛けてきた。はその攻撃を避け、一定の距離を保つ。
「・・・まだその様子じゃあ諦めてくれてないんだな」
「無論」
「そうか・・・」
一言言って今度は自身で攻撃を仕掛けた。スカーも疲れた身体でに対抗を、殺そうとしていた。





 スカーが右足で蹴り上げようとすればが右手でそれを受け止め、その反動で左足で後回し蹴りを決めようとする。しかし、それもスカーの左手で受け止められる。その瞬間、は『マズイ』と思った。反対にスカーはの顔を覗きこんで呟いた。
「まず・・・その左腕を『破壊』させてもらう」
時既に遅し。スカーの右手はの左腕をしっかりと捕らえていた。なんとかして振り払おうとするが、やはり男性と女性の力の差はある。の抵抗も効かずにスカーは『分解』を始めようとした・・・。
「・・・っ!!?」


























 ロイ達は地下水道を走り始めてかなりの時間が経った。だが、思った以上に道が入り組んでいて悪戦苦闘をしていた。
「くそ・・・何故こんなに入り組んでいるんだ!!」
「マスタング大佐!!八つ当たりをしても仕方がないと思うのですが・・・」
慌ててビゼクトがロイを宥める。しかし、そんなことで済むはずがなく、ロイは壁を殴った。
「・・・」
憲兵二人は、ロイのただならぬ気配に驚いた。そんなロイに何も声を掛けられずにいたら。






―バシャ―








 大きな水の音がした。地下水道に似つかわしくない音に三人は同じ事を思った。


がそこにいる!!』




 お互いが目を合わせると、一斉に走り出した。音は近かったのでもうは近くにいるはずだ。


























 スカーがの腕に力を込めた瞬間。





―バチィッ!!―





 眩い光と共にとスカーはその衝撃で弾かれてしまった。何が起こったのか分からずに二人は呆然と座り込んでいた。
「な・・・!?」
「何があったの・・・?」
立ち上がろうとすると、数人の足音が聞こえてきた。その音で気が付いたのか、お互い同時に立ち上がって睨み合った。
「ま・・・まぁ、とにかくスカー?きっとあの足音は私と同じ軍人。しかも、この音からして数人は居るわ。それでも闘い続けるの?」
「やらねばならぬことがある限り!!」
「そんなケガをしていても?」
が指を指したのはスカーの足。
 そうなのだ。先程、は自分の腕を掴まれる前にスカーの足に蹴りを入れていたのだ。そのため、今のスカーは立っているのがやっとの状態だった。確かにスカーは自分が今どれほどの戦力を持っているのか十分に承知をしていた。このままでは確実に自分が負ける。そう判断をして足早に逃げて行った。そんな後姿を見ていたは、追いかけようなんて事は最初から思っていなかった。それは自分も限界が近かったからだ。
「・・・っ・・・あのまま大人しく引き下がってくれてよかったよ・・・」
一言呟いてズルズルと壁伝いに腰を下ろした。実は、も限界が近かった、それは、錬成をした状態を保つのは意外と辛いものだ。特には、水を操って攻撃を仕掛けるものだったので常に集中をしていないと錬成が切れてしまうのだ。
「は・・・まだまだ私も修行が足りないようだな・・・」
自分の指先から流れる血を舐めながらそう思った。





「・・・っ!!」







 少し身体を休めていると、聞き覚えのある声に呼ばれた。ゆっくりとその方向へ顔を向ける。
「あぁ・・・ロイじゃないか。それにあんたら二人も・・・」
やっと見慣れた顔が見られてほっとしたらしい。の顔が綻ぶ。ロイもの姿を確認できて安心したらしい。いつもの笑顔でに近づいた。
「君も・・・何とか無事らしいな・・・」
「私が負けるとでも思ったの?」
私の実力は貴方が一番知ってるだろうに。と思いながらクスクス笑う。後方で憲兵二人がほっとしたようにお互いの顔を見合わせていた。はそんな二人に声をかけた。



「ねぇ、貴方達。私、ちょっと立てないから肩貸してくれる?」

「何だ、肩を貸すなら私が・・・」

「ロイは嫌。絶対何かするから」



 きっぱり言い放って憲兵二人を見た。すると、嬉しそうな顔でに近づいての両脇に付いた。
「さぁ、東方司令部へ戻りましょう。エド達も心配だしね」
を担いだ二人と本当に安心したようでロイも大人しくその後について行った。
























あとがき
 久しぶりの更新♪
そして、act.2終了!!
お疲れオレ!
ありがとう皆様!!
終わり方にインパクトがねぇぞ、ファミリア氏!!!

『それはあんたの実力がない所為よ』

ッキ…キャ―――――――――!!!

                                  2004.11.17



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