ドリーム小説

黒い波 ―Vol.3―



 は、ウィンスに東方司令部の中を案内していた。
「・・・で、此処が仮眠室。大体は済んだかな」
「ありがとうございます。分からないところがあったらまたお聞きしてもよろしいでしょうか」
「勿論。それと、私に敬語はやめてね?好きじゃないの」
「・・・わかりました。ファミリア大将」
「私のことを階級つけて話すのも駄目」
「はい、さん」
ウィンスは、面白そうに笑った。その顔は、本当に優しくて見ていてこちらもほっとする。会ったばかりの笑顔が嘘のように思える。
さん?」
「何?」
そんなことを考えていたらウィンスが話しかけてきた。

























さんはどうして軍人になったんだ?」



























「・・・そういうウィンス少佐は?」
話を振られて少し考えたが、話をしてくれるらしく顔を上げた。
「俺は、大切な人が居たんだ。でも、突然姿を消して俺の前から居なくなってしまった・・・けど、数年後、彼女を見つけた。その姿は軍人の服を着ていて別人に思えた。だから、もう一度会って何で俺の前から姿を消したのか聞きたい・・・それ以上に彼女に会いたい・・・なんて、不謹慎な理由です」
苦笑しながらウィンスは話を終えた。は何だか聞いてはいけないような気がして複雑そうな顔をした。それに気が付いたウィンスは気にしないで、との頭を撫でた。
さんは何で軍人に?」
話を変えるようにに話を聞こうとした。
「あ、私?私は・・・どうしてかな・・・」
「分からないんですか?」
「んー・・・私が軍人になったのは、私が錬金術を使えるから。その能力を買われてイシュヴァール殲滅戦に参加して生き残った。まぁ、その後すぐに田舎のほうに住んでたんだけど、ある時軍人の人に声をかけられて・・・それがきっかけで軍人になったの」
はそう話をして『話はコレだけ』と言って先を歩き始めた。ウィンスはの腕を掴んで声をかけた。
さん」
「どうかしたの?」
「・・・軍人になって・・・よかったことはありますか?」
少し悩んだが、すぐに答えた。
「全然。年齢の所為で色々言われたし、人も殺めてきた」
「どうしてやめなかったんですか?」
「・・・ウィンス少佐、さっきから質問攻めだね。まぁいっか。やめなかったのは・・・私の存在を確かめたくてね。命令がくるということは私はまだ何かに必要とされている、そう考えられるから」
「存在?」
「そう。今まではね」
「今までは・・・ということは、今は?」
「・・・この東方司令部に来てから・・・すごく生活が充実していて・・・気持ちいいんだ」
そのときのの笑顔は優しくて可愛らしかった。ウィンスは驚いた顔をしたが、すぐにいつもの笑顔になった。
「じゃあ、さんは今幸せなんですね」
「そうなるね。あのロイとかが特にね。いつも私にちょっかい出してくるんだけど、ああいうの、今まで体験したことないから嬉しいんだ。あんな時間を守りたい」





「・・・あの大佐が好きなんですね」



「え?」





 ウィンスは微笑みながらそう言うと、は驚いて振り向いた。
「あれ、違うんですか?」
少し考えるようには下を向いたが、ウィンスを見ながらはっきりと言った。


























「分からないけど・・・一緒に居ると幸せな気分」




























「・・・そうなんですか」
「そ。あ、もう仕事しなきゃだね!戻ろう」
が歩き出した。少し後ろでウィンスが一言囁いた。










「ロイ・マスタング大佐・・・か・・・」










 忙しなく足音が聞こえる。
「・・・遅い」
その足音の正体は、ロイのものだった。仕事場でとウィンスを待っていた。しかし、気になってしまい、うろうろと歩き回っていたのだ。
「大佐、もう少し落ち着いてください」
「ホークアイ中尉。これが落ち着いてられるというのか?」
「えぇ、は大丈夫ですよ」
「違う」
「は?」
即答したロイにリザは聞き返した。ロイを見ると、いつになく真剣な顔をしていた。
「あのウィンス・ガブザリック少佐という奴だ」
「彼ですか?」
「あいつは・・・注意した方がいい人物だ」
何のことかよく分からないリザは首を傾げた。






―カチャ―
「ただいま戻りましたよ〜♪」
とウィンスが戻ってきた。すると、今までの真剣な顔は何処に行ったのか、ロイはいつもの微笑みをした。
「お帰り、私のウィンス少佐に変なことをされなかったか?」
誰がロイのだ。それに、ウィンス少佐はロイと違って紳士だから平気だし」
「褒めていただいて嬉しいですよ、さん」
ウィンスが微笑んだとき、ロイと目が合った。ロイはウィンスを少し睨んでいたが、ウィンスはロイに微笑んですぐに『仕事に戻ります』と言ってその場を離れた。ウィンスの姿がなくなると、ロイはに話を聞いた。





、ウィンス少佐には十分気をつけたまえ」

「は?」

「ほら、男は何をするかわからないからな」

「そんなことないって♪ウィンス少佐は優しいよ」





 はそう言ってロイから離れて図書館へと向かった。その姿を見送ると、ロイはため息をついた。





「・・・は・・・本当は気付いてあんなことを言っているのか、本当にわかっていなくてあんなことを言っているのか・・・分からないな。私も気を引き締めるとしよう」





 その瞬間、リザの銃の安全装置が外される音が聞こえて急いで仕事に戻ったロイだった。


















あとがき
 はい、話が進まなくてじれったい(ぇ)
もう書いてる本人がじれったく思っているので読者様はもっとじれったいんでしょうか;
進みが遅くてすみません;
                                  2005.03.18


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