ドリーム小説

私は馬鹿だ





私は子供だ





周りを





拒絶してるの












過去 ―Vol.7―











 を庇ったアランはソラリスの『指』が抜けると、ズルッと身体が崩れ落ちていった。の膝に倒れるアランの背中は血だらけで、雨がその血を滲ませていたのだ。それを見たとき、の耳には何も聞こえなかった。雨の音も、ソラリスの歩く音も、自分の呼吸の音も・・・。
「アラ・・・ン?ねぇ、アラン!!」
何度も名前を呼ぶが、アランは全く動かない。はアランを揺すっていた手を退かすと、そこにはアランの夥しいほどの血が付いていた。
「ヤダ!アラン!!起きてよぉ!!」
また身体を揺すって声をかける。しかし、無情にもアランは動かなかった。



「ほら、貴女が断ったからアラン・シーゼが死んじゃったわ」



 いつもと変わらない声で話しかけてくるソラリスの声がかすかに聞こえた。実際はそんなに小さい声ではないのだが、今のにとってはかすか、と言えるのだ。その言葉を聞いて、はソラリスを睨み付けた。





「・・・何で、殺したの・・・?」





 低く、冷たい声は、歳相応とは思えないほど怒気が放たれていて、ソラリスは少し怯んだ。相手は子供だ、と自分に言い聞かせながらまた一歩近づいてきた。

「それは、貴女を殺そうとしたのを邪魔したから・・・」

「最初から私を狙ってたんでしょ!?」

「けど、アラン・シーゼが邪魔をしてきた」

「でも!貴女はアランを殺した!!」

「それは事故よ。別の言い方をすれば、彼が勝手に飛び込んできた」

「事故・・・?勝手に!?」

 しらっと言うソラリスに怒りと殺意を覚えたは、ぬかるんでいる地面に錬成陣を書こうとした。当然、それはソラリスに阻まれた。ソラリスの『指』はの腹部に突き刺さった。










「っぁ・・・!!」

「これでアラン・シーゼのところへ行けるわね・・・」










 そう言ったソラリスだったが、の指がまだ錬成陣を書いていることに気が付いた。
「貴女・・・」
「私は、っ・・・貴女を殺して・・・からじゃないと、死なない!!」
が腹部の痛みを我慢しながら錬成陣に手を叩きつけた。すると、地面から無数の槍が出てきてソラリスの身体を下から貫いた。















「っ!!!」















 ソラリスの『指』が短くなって、の腹部から抜けると、今まで我慢していた血が一気に溢れてきてそれと共に激痛が走った。
「った・・・、アランッ・・・」
その痛みを我慢しながらは小さな身体でアランをソラリスの居ない雨宿りの出来る場所へと移動をした。

























 の腹部から夥しい血が出ている。動いているのが不思議なくらいだ。しかし、はアランを思う一心である洞窟を発見してそこへ向かうことにした。
「アラン・・・もう少しで休めるから、頑張って・・・」
自分のことよりもアランを気遣う。にとってアランはそれほど大きな存在なのだ。励ましながら歩いていくと、目指していた洞窟に到着した、アランを寝かすとすぐにアランの傷口の血を止めようと自分の上着脱いで、また地面に錬成陣を書いて長い布を錬成した。は一生懸命アランの傷口に巻いて、なるべく暖かくなるように脱がせたアランの服の水を絞り落としてからアランにかけた。その作業の間、アランは動く様子もなく、ずっと目を閉じていた。だんだん不安になってきて一通りの作業が終わると、はアランの手を握ってアランに呼びかけた。
「アラン・・・お願いだから・・・・・・起きてよぉ・・・私、アランがいなくなるってことになったらヤだよ・・・」
アランの手を握る力を強めたら、一瞬アランの指が動いた。その反応には今まで下げていた視線をアランに向けた。

























「・・・・・・・・・?」





「ッ・・・アラン!大丈夫!?」



























 声を出したアランはの姿を見つけると、ホッとしたように微笑んだ。そして、冷たくなってる手を上げての頭を撫でたのだ。

「大丈夫、だった・・・んだな」

「うん・・・アランが助けてくれたから・・・」

「そう、か・・・よかった・・・ソラリスさん、は?」

「分からない・・・私の錬成で死んじゃったかも・・・」

「・・・そっか・・・」

 途切れ途切れの声を一生懸命聞きながらは答える。アランは一言言ったあとは黙ってしまった。はその間、もう目を閉じてないか、と心配でアランを見続けた。

「・・・なぁ、?」

「何処か痛いの?」

「違うよ・・・お前に言いたいことがあるんだ」

「言いたいこと・・・?」

 その言い方がいつになく真剣では一瞬嫌な予感がした。



「先に言っておく・・・俺は・・・もう駄目かもしれない」



「な・・・何言って・・・?」

「聞いてくれ」

 言われてからは黙ることしか出来なくなった。





「俺は・・・賢者の石を探したかったんだ・・・それは、俺が弱いからじゃない。もう全ての研究をし尽くしてやることがなかったから・・・俺が世界を手に入れる、っていうただの遊びだった」

「アラン・・・」

「けど、実際は違った。今わかったんだ・・・俺はもうやることをやって来た自分に自惚れていたんだ・・・を助けたのも、俺の自惚れから来ていた・・・一人くらい育てられる、と・・・ゲーム感覚だった」





 アランの言葉に傷付きながらもはアランの手を握って話を聞き続けていた。





が来てから俺は・・・本気で幸せだった。毎日が充実していた・・・今までで初めての感覚だ・・・もうそこで俺はと一緒に居ることがゲームじゃなくて・・・欲しかった現実そのものになっていたんだ」

「欲しかった、現実?」

「俺の家族は早くに死んで俺は一人。もう一人で何でも出来るって思ってたけど、心の奥底では誰か傍に居てほしかったんだ・・・そして、今、それは現実になった。・・・お前が俺に与えてくれたんだ」

「私・・・が・・・」





 嬉しくて涙が零れそうになったが、アランの顔がぼやけてしまうのですぐに空いている腕で拭った。





、俺はお前を守ってやれる自信があった・・・そう、それこそ自惚れなんだ」

「違う!アランは私を守ってくれた!!私は・・・これからもアランとずっと一緒に居るんだから!!」





 そう叫ぶに微笑を向けての頬を撫でる。





「違わないよ・・・これから俺はを悲しませる」





「何で・・・っ!?」






 アランは聞いてきたの手を自分の心臓の上に乗せて鼓動の速さを聞かせた。すると、いつもの鼓動よりもかなり遅いことに気付いては驚いた。

「もう・・・時間がないんだ」

「ヤダ!!アラン!!生きてよ!!」

「だから俺はを・・・悲しま・・・」

「もう話さないで!!」

「聞きなさい、

「ッ!」


 少しきつい口調でアランはを黙らせた。それを見てからまた話を始める。
「・・・俺、お前を守ってこれからもずっと傍に居るって・・・絶対に死なないって思った・・・お前を守れるって思った。けど・・・これではっきり分かったんだ・・・」

























「俺は神でも悪魔でもない
何の力もないただの人間
そう、小さな人間なんだ」



























 涙を流しながらアランはの手を握り締めた。がそれに答えるように握り返すと、強い力で引き寄せられてアランに抱き締められる形になった。





「アランッ!?」

・・・・・・・・・」





 何度もの名前を呼ぶアランに愛おしさを感じては抱き締め返した。もうアランの身体は冷たいはずなのに、すごく暖かく感じた。けど、その幸せな時間はすぐに消えてしまう・・・。

























・・・愛してる・・・」



























 耳元で囁かれた言葉には喜びを感じた。腕の力が緩くなってアランの顔を見て自分の気持ちを言おうとした・・・が。





「・・・アラン?」





 アランは、幸せそうな顔をして目を閉じていた。





「ねぇ、アラン?寝ちゃったの・・・?」





 はアランをまた寝かせて胸に手を当てた。しかし、先程感じていた鼓動はもうなく、暖かさも消えていた。





「嘘・・・でしょ・・・?ねぇ、アラン!!」





 アランの肩を揺すっては何度も叫んだ。















「何で!何で今なの!?どうしてそういうことを今言うの!!私・・・私の返事も聞かないでどうして?!お願い!!もう一度目を開けて!もう一度声を聞かせて!!もう一度ギュッてしてよ!!!も・・・っもう一度・・・」




















私と一緒に暮らしてよ・・・

























まだアランに笑顔を見せてない


まだアランに話をしてない


まだアランにありがとうを言ってない


まだアランに・・・










愛してるって・・・言ってない・・・





















あとがき
 アラン…死んじゃいました;;
子供の時代にこんな出来事があったら暗い人生になりますね…
                                  2005.04.06



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