これで最後
これで終わり
これで
さようなら
過去 ―Vol.8―
はアランが動かなくなって泣き続けた。叫び続けた。後悔し続けた。それでも・・・そんなことをしてもアランは戻ってこないと理解すると、は何をするでもなくアランを見ていた。
「アラン・・・」
『人工的な人間造出・・・つまり、創られた人間なのよ』
ふと、ソラリスの言葉が聞こえてきた。創られた人間・・・創られたということは、創るのは・・・人間?
「・・・もしかして・・・」
―アランをもう一度創り直せるかも―
そう頭に過ぎって、は立ち上がって走り出す。空はまだ雨。それに構わずは自分とアランが住んでいた家に走ったのだ。
「そうだ・・・アラン。私の錬成を見てないじゃない!」
子供なりの考えなのだろう。壊れたものはまた創り直す。は、そのことばかりを考えて家に駆け込んですぐにが読んだ本を取り出す。何ページか読んで見たが、創られた人間についてはかかれていなかった。代わりに書いてあったことは。
「『禁忌とされている』・・・?禁忌って、いけないってことだよね?何で?」
人を創り出せばもう一人ぼっちなんて人は居なくなる。そうすればみんなが笑顔でいられるのに。にとって、それが禁忌だという理由が分からなかった。その先も読み続けたが、禁忌だとしか書いていなく、参考にならなかった。
「どうしよう・・・何処にも書いてない・・・」
悩んでいたが、すぐにもう一つ探す場所があった。
「・・・しょうがない・・・アランの部屋を探そうかな・・・」
は立ち上がってアランの部屋へ向かった。
アランの部屋には、沢山の本が並べてあって、その本には必ずしおりみたいなものがあった。は何冊か手にしてページをめくった。それは、どれも人体に関すること。一応読んでみて、人間が何で出来ているのかがわかった。
「これで人間に必要なモノはわかったけど・・・」
その錬成のやり方がわからない。普通にやっても出来ないということは、今まで読んだ本でなんとなくわかっていたのではまた別の本を読み漁っていた。が本を読んでいる間も時間は進んでいた。本を読み始めてもう三日が過ぎていた。それでもなかなか手がかりが見つからない。
「何で分からないのぉ・・・?これじゃあアランが・・・」
涙目になって、は机の横に座った。すると、机の引き出しの裏に何かがあった。
「・・・?何コレ・・・形は変わってるけど、錬成陣・・・」
そこには、ノートがあって、中を見ると、人体錬成に関しての情報。そして、錬成の理論がわかったらしく、事細かに錬成の過程が書いてあった。勿論、材料・手順・錬成陣全てが。はすぐに顔が明るくなった。
「これだ!!私が探してたの、コレなんだ!!!」
はそのノートを手にして、あの洞窟へと向かった。これでアランが生き返る。これでまた一緒に居られる・・・その思いだけがの身体を動かしていたかのようにはアランのところへ向かった。
アランは、最後に見たときと同じ状態だった。は、アランの傍にノートに書かれていた錬成陣・・・構築式をそのまま書き、その上にアランを寝かせた。次に、錬成に必要な材料・・・水35g・炭素20s・アンモニア4g・石灰1.5kg・リン800g・塩分250g・硝石100g・硫黄80g・フッ素7.5g・鉄5g・ケイ素3g・15の元素少量を用意した。そして最後に。
「魂の情報・・・」
アランの血を少し掬ってその材料に混ぜた。
「これで・・・完璧なんだ・・・」
は、目の前に出来た光景に少し震えた。それは、人を創るという恐怖、そして、アランに会えるという悦びの為だと思う。
「アラン・・・もう少し待っててね・・・」
アランに微笑を浮かべて、は構築式に手を乗せた。
―ドンッ!!―
凄まじい音と共に、今までに見たことのない眩い光が放たれた。は目を瞑りそうになったが、アランが生き返る姿を見たい、と一生懸命目を開けていた。
―バチッ・・・ォォォォォ・・・―
最初は錬成の時と同じ感じだったが、だんだんと雰囲気が変わってきた。それは、先程まで眩かった光が時間が経つにつれ黒くなっていき、変な音が聞こえてきた。は不安になって周りを見てみた。
「っ何!?」
の周りを黒い何かが覆っていた。それは、を少しずつ『壊していた』今まであった腕が、今まで身体を支えていた足が・・・最後には・・・。
「きゃぁぁぁぁ!!!」
自身全てが『壊れた』
・・・いや違う・・・
『向こう側に持っていかれた』のだ
どのくらい時間が経ったのか分からないが、が目を覚ましたとき、外は真っ暗だった。錬成を始めた時も暗かったからそんなに時間は経っていないのかもしれない。
―ズズッ・・・―
何か音が聞こえて、が視線を向けると。
「・・・アラン!!」
見たことのあるシルエットがあった。それは、が見たかったシルエット。まだ煙が上がっていてはっきりとは見えないが、アランの後姿は見間違えない自信があった。
「アラン!私は此処だよ!!聞こえ・・・ッ!!!!?」
喜びのあまり
アランに駆け寄ろうとしたが
は煙がなくなってきた頃に気が付いた
―ズズッ・・・ズッ・・・―
あの『何か』の音の正体は・・・
―ズッ・・・ゴツッ―
「アラン・・・いや――――――!!!」
変わり果てたアランの姿だった・・・
どうしてわからなかったんだろう
自分もそうなんだ、と
神でも悪魔でもない
小さな人間だ、ということに
あとがき
ぅわー…やっちゃったよ。
ちょっとグロテスク…;
あ、次が最後となりますので!!
2005.04.06
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