ドリーム小説

動き出すココロ ―Vol.2―



 「さぁ、今回もやってまいりました錬金術ペアバトル!!」
司会者らしき男が張り切って仕切っていた。観客は思った以上に人がいて、歓声が町中に響いていた。その様子をロイとは選手席から見ていた。
「・・・全く・・・何でこんなのが楽しいの?」
「まぁまぁ。だって出るんだから同じだろう?」
「私は・・・まさかこんなにふざけたものだって思ってなくて・・・」
がため息混じりに言った。実は、の中では錬金術を使って対戦をするのだろうと思い込んでいた。しかし、実際はそんな物騒なものではなく、錬金術を使ってあるものを創るというシンプルで安全なもの。
「普通の人相手に戦うなんて出来ないだろう?」
「そうだけど・・・って、私の勘違いだったのよね・・・もう何でもないわ」
自分に非があるとわかっているのでそれ以上は何も言わなかった。そうしている間に、司会者はいつの間にかルール説明に入っていた。
「さて、ルールは実に簡単!町の何処かにある紙に作ってもらうものが書いてあるのでまずはそれを探してください!次に、そのお題を二人で完成させ、見つけた紙と一緒にこの会場に持ってきてください!そのタイム・完成度・協調性を審査して優勝を決めます!!」
「審査・・・ねぇ・・・」
チラッと審査員席を見ると、彫刻家や芸術家、それに軍人までいた。軍人とは、ハクロ・アームストロング・ヒューズ・ブラッドレイがズラッと並んでいた。

「狽ソょっと!何で大総統がいるの!?」

「はっはっは。たまにはな」

 の声が聞こえたのか、大総統がに向かって笑顔で手を振っていた。
「・・・ああいうお方だから仕方ない・・・」
「いつになってもあの人は変わらないなぁ」
少し呆れながら言ったの言葉が気になったロイは首を傾げながら聞いた。

「いつになっても、とは・・・前から大総統を知っているのか?」

「ぇ!?あ、そんなことないって!!」

「しかし、今・・・」

「それより!もうスタートらしいから早く行こう!!」

 慌てながらがロイの腕を引いてスタートラインに付く。ロイは、は何を隠しているのか気になったが、今はの気分転換が出来ればいいと思い、大人しくスタートラインに付く。
「では、このベルが鳴ったらスタートですからね!」
司会者が見せるベルを見ながら軽い準備運動をする。

「ん?」
「・・・民間人相手に本気には・・・」
「大丈夫。まだ病み上がりだし、そんなに力でないって」
苦笑しながらロイにそう言って手首を回していた。ロイもそろそろスタートされるので準備運動の仕上げをしていた。
「・・・あ、そういえばロイ?」
「何だ?」
「もし、私が出ないようだったら誰を誘おうと思ってたの?」
気になっていたことを口にしてロイを見ると、ロイは楽しそうに微笑む。

「誰も誘わないぞ?」

「・・・は?」

「だから、私は以外の誰とも組むつもりはなかったと言った・・・」

「でも、これはペア制だから・・・」

「別にこれは命令で参加しているわけではなく、私の意志だ。出ないと思ったら出るはずがない」

「そういえば・・・そうだったわね・・・」

 は先日のやり取りを思い出してため息を付く。その様子が面白いのか、ロイがの頭を撫でる。
「まぁ、もうそんなことはいいじゃないか。今はこの大会を楽しもう」
「ロイ・・・わかったから離してよ」
頭を撫でるロイの手を振り払う。撫でていたロイは『あぁ、すまない』と笑いながら離れてくれた。
「・・・?」
ロイの手が離れたとき、何故か寂しく思ったのは何だろう・・・とが思ったが・・・。





「では、スタート5秒前!」

 司会者のカウントが始まった。





「4!」





「何?」





「3!」


「この大会、優勝をしたら・・・」





「2!」


「優勝したら?」





「1!」

























「君を――










「スタート!!」



























 ロイの言葉は司会者とベルの音に掻き消されて聞こえなくては『え?』と言ったが、ロイは不敵に笑っていた。
「さぁ、行くぞ、!」
「ちょ・・・ロイ!?」
ロイの言葉を最後まで聞けないまま大会は始まってしまった。



















あとがき
 大会が始まりました♪
皆様がまだ勘付かないように頑張りたいと思ってます;;
                                  2005.07.28


ウィンドウを閉じてください。