ドリーム小説

離れて分かる気持ち ―Vol.3―





















「私、今度セントラルに戻るから」




















 ハッキリとそう言われた。誰が?何処に行くと?ロイは一瞬頭の中が真っ白になった。
・・・それはどういう・・・?」
「この前のお祭りの表彰のとき、大総統に戻るように言われたの。それで、私、此処が気に入ってたから何とかしてそれを取りやめてもらおうとしたけど・・・そういう必要なくなったみたいだね」
混乱したロイがを見ると、は泣きそうな顔でロイを睨んでいた。こんなを見るのは初めてで、ロイは少しの戸惑いを覚える。

「それは、いつなんだ?」

「そうね・・・もう明日には行くわ」

「明日だと!?」

「何?そんなに嬉しいの?」

「そうではない!」

 当たり前だ。ロイが他の男と楽しそうに話すを見るだけで嫉妬心がふつふつと湧き上がるのに、此処から離れるなんて言われたらロイは黙ってられない。
「じゃあ何?」
「何故私になんの相談もなかったんだ?」
「・・・ロイに一々言うことじゃないでしょ?」
「此処は私が担当しているんだ!何故私に報告をしなかった!」
ロイは椅子から立ち上がって、の傍まで来た。しかし、それに動じずにはそのままロイを睨みながら見上げる。
「何故?そんなの簡単でしょ?」
「何?」

























「私は・ファミリア大将なのよ」



























 真剣に言われてロイは少しゾッとした。今までとは全く違い、冷たい表情で言ってきたのだ。
「それじゃ、私はもうセントラルに行く支度をするからもう帰るわ・・・」
「な・・・!?」
「失礼するわ」
そう言って、は執務室から出ようとした。




















がいなくなる?




の声が聞けなくなる?






















 「あ、そうだ・・・ロイ?」
がロイの方を見てきた。しかし、ロイは、がいなくなるショックでの言葉があまり理解できなかった。
「セントラルに行くから今日はもう帰るから。私の仕事はもう終わったしね」
そう報告をして、はまたロイから視線を外した。




















私、本当は行きたくない



けど、上からの命令だし





ロイだって



私がいない方がいいんでしょ?





私は貴方に迷惑をかけたくない



だから・・・






















「さようなら、ロイ・マスタング大佐」
は震えそうになる声を抑えながらハッキリと言った。




















“さようなら”?

もう会えないのか?

私の下から離れるのか?





そんなことは

許さない






















 「・・・待ちなさい」
ロイがの傍に近づく。しかし、いつもと様子が違っていたのでは思わず後退りしてしまう。それが余計に気に入らないのか、ロイはの腕を掴んで自分の方へと引っ張った。
「ぅわ!」
は突然のことで対処できず、そのままロイに倒れ込む形になってしまった。

「ちょ・・・ロイ!?」

「・・・ぃ・・・」

「?何・・・?」

「私は・・・」

























「君を離さない」



























 そう言うロイの目は真剣で、は思わず胸の高鳴りを感じた。その次の瞬間。




















「・・・っ!?」






















 唇に温かく柔らかい感覚がきて、それが何だかすぐにわかった。





「んっ・・・ゃ!」

「・・・」





 はロイにキスをされていた。いくらが離そうとロイの胸を押してもびくともしないでキスは深まるばかり。顎にロイの指があって顔を逸らすことも許されない。息も出来ない。心臓がうるさい。身体の力が抜けそう。身体が熱くなる。その全てが初めてのことで、は小さな恐怖を覚えた。
「・・・っん、ぁ・・ロィ・・・っ!?」
膝が床に落ちそうになると、口の中に何かが入ってきた。
「っんんー!!」
わけがわからなくては思わず涙を流す。ロイは、それを見て、生理的ではなく、恐怖からの涙だと分かって唇を離した。それと同時には後ろにあったドアに凭れ掛かりながらズルズルと座り込んでしまった。ロイは自制できなかった自分の不甲斐無さに驚き、そのまま座り込んだを見た。





「・・・っ、ぅ・・・」

・・・?」





 ロイはが顔を上げないでいることが気になって膝をついての顔を覗き込もうとすると、左頬に鋭い痛みを感じた。
「っ!?」
すぐにに平手打ちを喰らったのだと理解してに声をかけようとすると、ポロポロと涙を流すがロイを睨んでいた。





・・・」

「・・・こんな、こと・・するほど・・・私が嫌い、なの・・・?」

「何を言って・・・」

「私!・・・私・・・もう、分からな、ぃ・・・ロイ、が・・怖い・・・」





 最後に怖いと言われてしまったロイは、どうすることも出来ずにの頭を撫でようとしたが。
「っ!!やぁ・・!」
がロイを怖がって触れさせることも拒絶する。伸ばした手を床に戻してロイはから離れた。それを見てからはゆっくり立ち上がって廊下にでようとドアに手をかけた。
「・・・怖がらせてすまなかった・・・」
「・・・」
ロイに声をかけられて一瞬動きを止めた。
「しかし、キスをしたことは謝らない」
「?」
「私は・・・それほどを愛しているんだ」
「・・・さようなら」
本当はその言葉が嬉しかったのに、はあえて返事をしないでそう言って部屋を出て行った。

























愛している?

貴方は何人の女性にそれを言ったの?

私は

そんな簡単に信用出来ないわ





















さようなら?

私の気持ちをどう受け取ったか教えてくれないのか?

私は

こんなに君を想っているのに



























 静まり返った執務室に張り詰めた空気が漂っていた。



















あとがき
 なんだか空白が多いような…;;
はい、ロイさん暴走です(笑)
                                  2005.10.12

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