運び屋(前編)
鏡形而と会ってから数日、は暫く外に出ていなかったが大学もあるのでこの日は出掛けた。勿論、何故かまで付いて来たのだ。
「何であんたが付いて来るんだよ?」
『別にいいじゃない。気まぐれな猫なんだから』
ツンとした態度がらしいが、嫌なくらい自分に引っ付いてこようとするこの猫がにとってかなり可愛いと思えてしまうのだ。だから、勝手にしろ、と言ってまた黙る。
「あっれ?!」
電車から降りると、自分を呼ぶ声がした。それに気付いて振り向くと、案の定・・・腐れ縁の友人がそこにいた。
「・・・」
「おはよう!何?今日は大学来たの??」
「まあね。たまには来てみようかなってさ」
「ふぅん・・・あ、あんたが休んでた分のノート!それで、授業中に出たレポートとかは私から出しておいたから」
「そんなことしなくてもオレ平気なのに・・・」
「いいじゃない♪」
相変わらずだな・・・とはの頭を撫でた。はがこうしてくれるのが大好きなので自然と笑顔になる。
「あ、そうだ!」
何かを思い出したらしく、はパソコンを取り出し・・・に顔を向けたが、そこにはすでにの姿が小さくなっていた。
「え?えぇ!?ちょっと!!待ってよ!」
「。お前またオレに仕事押し付けようとしてんだろうが!」
「だって〜。私が知ってる中で一番信用できる運び屋だしさぁ」
「冗談じゃない。あんたが持ってくる仕事に安全なものとかないじゃないか!」
「やりがいがあるでしょ?」
「そんなもんいらん!!」
「とにかく!引き受けてもらうよ?」
「何でオレが・・・?」
一瞬、誰かがを呼んだ気がした。あたりをキョロキョロしてみると。
「あ、」
長い髪を縛ることもせずに靡かせ、柔らかい笑顔でを呼んだ女性がこちらに向かって走ってきた。
「え・・・陽菜!?」
「久しぶりね、」
「、この子誰?凄く可愛いけど!?」
「あぁ、は初対面か。こいつは三坂陽菜(みさか ひな)って言ってオレと同じクラスの友人」
「初めまして、三坂陽菜です」
お辞儀をして挨拶をする陽菜。今時珍しいほどのお嬢様と言う感じの人だった。
「私は!とは腐れ縁なんだよね」
はそう言って握手をした。
「陽菜?お前今日来て平気だったのか?」
「大丈夫よ。今日は学校に来てもいいって言ってくださったから」
「本当にか?」
はこれほどまでに他人を心配するを見たことがなくて驚いた。
「・・・あ、私これから行きたいところあるから行ってくるね!」
「あぁ」
何となく陽菜との二人だけにしたくなったはそう言ってその場を去った。
「・・・陽菜、あんた本当に・・・」
「もうったら。普段はみんなから冷たいって言われてるのに意外と心配性なのね」
クスクスと静かに笑う陽菜には『悪かったな』とテレながら陽菜の髪をくしゃくしゃとやった。
「ったく・・・あ、オレそろそろ仕事に行ってくる」
「あぁ、あの『運び屋』っての?」
陽菜の言葉に携帯でスケジュールを確認しながら頷くと、少し静かになった。
「ねぇ」
「何?」
声のトーンが変わった陽菜に気付いて顔を上げた。すると、やっぱり声の通り深刻そうな顔をした陽菜がいた。
「陽菜・・・?」
「、あまり危ないことしないでね?その『運び屋』ってのがどういうものかよく分からないけど・・・でも、私はがいなくなることは絶対ヤだからね?」
本当に心配してくれている顔がを見上げていた。それが嬉しくて、恥ずかしくて・・・は一生懸命そんな感情を隠そうと顔を背けた。
「大丈夫・・・オレは陽菜を置いて何処にも行かないからさ」
な?と陽菜に微笑みかける。それを見て安心したのか、陽菜も笑顔になった。
「それならいいわ。私はを信じてるから」
「あぁ、それじゃ・・・」
そう言っては大学を出た。
『ねぇ、』
「何だよ?」
駅までの帰り道でが話しかけてきた。
『随分と態度が違うのね?』
「黙れ」
『まぁいいわ・・・それで、仕事なんて本当に入ってるの?』
「当たり前じゃない。仕事は別の運び屋が運んでくる依頼品をオレが受け取ってオレが直接クライアントに渡すんだと」
『随分簡単な仕事じゃない?』
はたまにはこんな日もあっていいだろう?とに言った。駅に着いたらどっちも黙る。人間が猫に話しかけるなんて光景は多分おかしいだろうからと、両方ともわかっているからだ。電車を下りてとはその運び屋が来る待ち合わせ場所へ向かった。
あとがき
はい、長編進みました。
これ…気付いた人は数少ないと思いますが…。
進む方向変えました。
えぇ、何だかオレの思いつきでもう一つのGBと繋げようと思って内容から変えました。
前の二作は同じなんですけど…ι
あ、後編もありますから〜。
2004.09.26
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