公園








ぼっくらのう〜まれてく〜る
ずっとずっとま〜えにはも〜♪







 某アーティストの歌を歌いながらやって来たのは大学帰りの。どうやら一つ授業が休講になって早目に帰ってきたらしい。丁度お昼時である。また波児に会えると思うと足取りも軽いらしい。ついでに手料理なんか食べられたらいいいなぁ・・・などと考えていた。





「アッポロ十一号は月ぃに行ったっていうのぉにぃ〜♪」





 ホンキートンクへ行くのに公園を通った。すると、見たことのある車が止まっていた。
「あれって・・・スバル360・・・ゲットバッカーズ?」
誰かいるのか?と好奇心が芽生えて近づいていった。すると、暑さで死にそうな蛮を発見。ハンドルに凭れ掛かっていた。そして、何故か髪が下りている。
「美堂蛮・・・あれ?銀次はぁ?」
キョロキョロとあたりを見回していると、声が聞こえてきた。

























「おい、何やってるんだよ」



























 それまでスバルにいた蛮が自分が立っている木の下にまで来ていた。
「あ、美堂蛮。気付いたんだ」
「そりゃあな。あんなに挙動不審な動きしてりゃ嫌でも目に付く」
不機嫌そうに煙草を吸っている蛮。は未成年なのに・・・などと思ったが、ただでさえ不機嫌なのにそれに拍車をかける必要もないと思い直して違うことを言葉にした。
「ねぇ、銀次は?」
「あいつなら今ビラ配り終えて散歩中」
「へぇ、あんた達でも別れるときあるんだ」
「四六時中一緒ってわけじゃねーんだよ」
意外そうに言うにそう言う。にしては結構印象悪いと思った。というか、自分は嫌われてる?とさえ思ったほどだ。
「・・・で?お前は何してるんだよ」
「え?」
蛮から声をかけてきて驚いた。
「だから、何でここにいるんだよ」
「何でって・・・ここは公園だからいてもおかしくないでしょ?それに、これからホンキートンクに向かおうとしてたんだよ。その途中で美堂蛮と遭遇ってわけ」
おわかり?と首をかしげた。蛮は呆れたようにを見た。そんな蛮にムカついたのか、は蛮を睨んだ。
「まぁ、俺には関係ないか」
「そうだよー・・・あ」
今度は何だ?と蛮。





「何で美堂蛮は髪を下ろしてるの?もしかして、暑すぎてそのウニ頭、元気なくなっちゃったとか!?」



「何がウニ頭だ!俺様は人間だ!!」





 は面白おかしく言って、蛮はそれに激怒。しかし、はそんなことお構い無しに話を続けた。





「あー・・・で?何でおろしてるの?」



「さっき暑いからそこの滝で水浴びしてたんだよ」





 そう言って指をさした方向は、公園の中にある滝だった。はまさか!!と思い、蛮に言った。





「ちょ・・・あんた、あんなところで水浴びしてたの!?バッカじゃないの!!露出狂もいいところだよ!!」



「この暑い気候が悪いんだ!!俺は悪くねぇ!!」



「あーもう!!あんたには常識がないの!?」



「おめーよりはあるよ!!」



「私は水浴びなんてしないもん!!」





 そんな口論が始まってしまった。少ししてが周りの反応に気が付いて口を止めた。
「・・・何で私があんたと口論しなきゃいけないのよ〜!」
自分のしていたことに後悔しながらスバルの側に座った。
「てめぇ、何勝手に・・・」
「いいじゃないの!座るくらい!!」
二人は睨み合ったが、少しして飽きたのかお互い目を逸らした。何故か蛮はスバルの外にいた。は丁度スバルが陰になっていて少し暑さを凌いでいた。ふと、暇になったと思い、この公園に来たときに歌っていた歌を歌い始めた。

























・・・ぼっくらのう〜まれてく〜る
ずっとずっとま〜えにはも〜♪












蛮は、突然聞こえてきた歌に驚いた。あまりにも下手なのだ・・・この歌い方は。これなら小学生の方がまだ上手だと言えるほどに。



「な・・・!?」

「アッポロ十一号は月ぃに行ったっていうのぉにぃ〜♪」

「だー!!もうやめろ!!」



 耐え切れなくなった蛮はの前に立って歌を止めた。は突然のことに驚いて目を大きく見開いていた。
「お前、何そんな下手に歌ってるんだよ!!折角の名曲が・・・」
しゃがみ込みながらそう言った。は折角歌っていたのに邪魔されてちょっと不機嫌な状態になってしまった。だから、腹いせに蛮を殴ろうとした。
「・・・」
目の前に蛮の顔があった。まぁ、蛮がしゃがみ込んでいるのだから仕方ないことなのだろう。だが、視線を蛮に合わせたの目に映ったのは蛮の瞳。青くてつい見入ってしまう。それまで淡々とその歌について語っていた蛮はの様子がおかしいことに気が付いた。
「おい、聞いてるのか・・・あ」
気が付いた。は蛮の瞳を見ていたのだ。別に邪眼をかけるつもりはないのにいつもの癖で蛮はから目を逸らし、サングラスを掛けなおした。
「ちょ・・・何で眼隠すのー?」
残念そうに文句を言うに睨んだ。
「お前、情報屋なら俺のこと知ってるんだろ?」
「・・・あぁ、邪眼のこと?」
やっぱり知ってたのか・・・と蛮は少し驚くが、今はそれどころではない。
「だったら俺の目を見るな。わかったな」
これだけ言えばもう見ないだろうと思い、スバルに乗り込もうとしたら、シャツの裾を?まれた。

「おい、放せよ・・・」

「ねぇ、何でそんなに嫌がるの?折角綺麗なのに」

「お前なぁ・・・この眼は呪われてるんだぞ?」

 何で自分が会ってまだ日も浅い小娘にこんなことをいているのか分からなかったが、きっと少し怒っているから歯止めが利かないのだろうと思った。





「・・・あのね、美堂蛮?」
少ししてが話しかけてきた。
「私は、綺麗だって言っただけなの!それが悪い?蛮が『呪われてる』って言っても私はそんあの知らない。ただ、純粋に綺麗だって思ったのに・・・そんなありがたい言葉を受け入れないの?」
「な・・・お前に何が・・・」

























「別に呪われていようとなんだろうと要は『自分次第』なんじゃないの?」



























 真面目な顔になったに一瞬目を奪われた。を纏う雰囲気が変わった。
「呪いとか言ってるけど、あんたは人と目を合わせるのが怖いんでしょ?だから『呪い』って言葉に逃げ込んでる・・・かっこ悪いよね」
「お前に何が分かるってんだよ・・・」
「何も分からないよ?だから、言えることもある。それに、よく考えてみたら?あんたは銀次と話すときとか目を合わせてるはず。その時、銀次に邪眼かかった?かからないでしょ?それは蛮が邪眼をかけようとしなかったからなんでしょ?」
蛮はの言葉に耳を向けていた。
「あぁ、今私と話してる時も目を合わせてる」
言われて気が付いた。いつの間にか蛮はから目が離せなくなっていたのだ。急いで目を逸らそうとしたが・・・。
「・・・った!!」
髪の毛を引っ張られた。『なにしやがる!』って文句を言おうとしたが、それよりも先にが話始めた。
「逃げるなよ。あんたが『呪い』というものから・・・自分から・・・全てから。見届けた先にはきっといいことがある」
「・・・お前・・・」





「なーんてね!!」





 突然いつもの明るいに戻っていた。びっくりした蛮の髪を解放した。そして、少し距離を置いてまた話しかけた。今度は笑顔で。
「まぁ、今偉そうに言ったけど、きっと辛い過去があったんでしょ?だからつい目を背けちゃう。今私が言ったことは何も知らない『他人』が言った戯言だからさ。あんまり気にしないでよ!」
あそこまで言って『気にするな』というのは無理ではないのか?と蛮は心の中で突っ込んだ。
「はぁ・・・お前なぁ・・・」
「けど・・・」
急に小さな声で呟いた。

























「あんたにとっての『呪い』は綺麗でいいね」



























 そう言うは蛮を見ているが、心はどこか別の場所にあるような・・・今から目を離したら何処かに消えてしまうような気がして蛮は思いっきりの腕を掴んだ。
「!?美堂蛮?」
「何を・・・」
言葉にしてみたが、それ以上言ってしまってはいけないような気がして蛮は言葉を止めた。ここはいつものように接するのがいいのか、と結論を出してその続きを別の言葉にした。
「いや、お前、前から何で俺のことをフルネームで呼ぶんだよ」
「は?だって・・・あんた私のこと嫌いでしょ?」





嫌い?誰が?





「・・・何言ってるんだ?」

「えー、だって、最初に会ったときすっごく睨んでらじゃん。だから・・・」

「睨んでねぇ」

「・・・睨んでた」

「睨んでねーよ」

「絶対睨んでた!!」
 むーっとするを見て蛮は笑った。

「な・・・笑うな!!」

「クックッ・・・あー悪い悪い。とにかく、俺のことはフルネームで呼ぶな。ウザイ」

『ウザイ』の一言に意見しようと思ったが。

「気軽に呼べ」

 その一言での機嫌は良くなった。気軽に呼んでいいということは、自分は嫌われていない。ということは、友達になれる!?
「わかった!!じゃー、あんたも私のこと気軽に呼んでよ?えーっと・・・気軽にだから・・・」
悩む姿が大学生には見えない。というか、同い年などと思えないと蛮はを見ながら思った。ぼーっと見ていたら、突然が蛮の方を向いてきた。





「蛮!やっぱり蛮にしたわ!下の名前の方がなんだか親近感湧くし!!」





明るくそんなことを言うに呆気に取られたが、が自分の手を握ってきた。
「これからもよろしくね、蛮!!」
「お・・・おう・・・」
蛮は少し押され気味に頷いた。それでもは納得したらしく、すぐに手を離して走り出した。
「じゃ、私ホンキートンクに行ってくるから。ばいば〜い!!」
手を振りながら走り去った。




















 がいなくなってからズルズルとスバルに凭れるように座った。先程までこの場所にがいたのだ。
・・・か」
自分の眼を綺麗だと言ったり、自分は逃げてるだけだとか言ったりする真面目な。名前の呼び方を本気で考えたり、握手をして挨拶をしたりする可愛らしい。歌が下手な。そして・・・。
















『逃げるなよ。あんたが『呪い』というものから・・・自分から・・・全てから。見届けた先にはきっといいことがある』
















『けど・・・』
















『あんたにとっての『呪い』は綺麗でいいね』























 どこか儚さを帯びた弱々しい・・・不覚にものことを知りたいと思った。あの時、自分を見て何を思い出したのか。何を思ってあんな儚い表情をしたのか。





「・・・くそ・・・」





















どうしてこんなにも
繋がれた手に熱が帯びているのかを
―――





















あとがき
 あー…展開早いですよねぇ…ι
しかも、話長いし…。
ごめんねぇ、蛮。
オレの文才がないばかりに…(涙)
しかも、ここに載せた歌詞…ポルノグラフィティの『アポロ』だし…。
                                  2004.08.24


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