ドリーム小説

騙したことがバレちまったよ



 次の日、は誰よりも先にホンキートンクへやってきていた。
「ぅー・・・誰も来ない〜・・・」
「ははは、ちゃんが早いだけだよ。ほら、コーヒーでも飲んで待ってな」
「あ、ありがとうございます!」
は波児からコーヒーを受け取って笑顔になる。カップに口を付けると、自分好みの甘い味の中にほんのりとコーヒー独特の苦味が飽きの来ないものにさせていた。

「やっぱり波児さんのコーヒーはおいしいですね!」

「ありがとう、そう言ってもらえるとうれしいよ」

「私もこんな風にコーヒー作りたいです」

「今度教えようか?」

「いいんですか!?」

「あぁ、ちゃんはコーヒー好きそうだから喜んで教えるよ」

「わー!今度時間があるときにお願いします!!」

「わかったよ」

 波児とのこんな約束が嬉しくて幸せそうな顔をしながらまたコーヒーに口を付けていく。





―カランッ―
「おっはよ〜!!」
「何だ、もう来てたのか?」
銀次と蛮がドアを開けていつものように入ってきた。それを見ては席から立ち上がって笑顔を向けた。

「おはよ♪まさかあんた達がこんなに早く来てくれるとは思ってなかったわ・・・」

「はっ。仕事なんだからしょうがね・・・」

「あのね、さっき車がレッカーされちゃって困ってたから此処に来た・・・って
痛ァ!!

 『ガコッ』という音と共に銀次が頭を抱えた。

「余計なこと言うんじゃねぇよ!!」

 どうやら、蛮が都合の悪いことを言いそうになった銀次を殴ったらしい。その一通りの流れをは見て一人笑った。
「あはは!まぁ理由はどうあれ、来てくれたってことがいいことなんだよね」
「・・・それより、てめぇはかなり早いじゃねーか?」
「だって、私が仕事を持ってきたんだよ?いつ来てもいいように準備しておくってのがプロでしょ?」
得意気に言いながらパソコンを開く。ディスプレイには、時計が表示してあって『09:12』と書いてあった。
「集合時間は確か午後3時・・・まだ時間はたくさんあるねー」
そんなことを呟いた時。





―カランッ―
またドアのベルが鳴った。そこに立っていたのは・・・。
「おはようございます」
「あれ、カヅっちゃん!!」
「花月さんじゃないですか!」
優しく微笑みながら花月が入ってきての隣に座った。
「どうしてこんなに早く来たんですか?」
「えぇ、丁度時間が空きまして・・・何もすることがなかったのでこちらへ来たんです」
丁寧に答える花月が女の人に見えては少し頬を赤くしてしまった。花月は『どうかしましたか?』との顔を覗き込んだが、は慌てて『何でもない!』と顔を逸らした。

























「・・・。弦巻きは男だぞ?」



「ぅ・・・分かってるわよ!!!」



























 は蛮に言われて睨みながら叫ぶ。そんな二人の様子を微笑ましく見ている花月と銀次、そして波児だった。




















 ホンキートンクの中で楽しく時間を過ごしていると、いつの間にか午後をとっくに過ぎていた。
「・・・ちゃん?確か集合時間は3時だったよね?」
「あ、はい!」
「もう2時半回ったよ?」
「えぇ!?」
は驚いてパソコンの時計を見ると『12:43』と表示してあって集合時間が迫っていることを知らせていた。
「まだあと二人来てないのに!!」
「確か、士度と・・・ちゃんのお友達だよね?」
銀次が思い出すように聞くと、はこくんと頷いた。
「そう・・・でもあの子本当に此処まで来れるのかな?」
心配そうにホンキートンクのドアを見つめた。





―カランッ―
ドアが開いて入ってきた人物はが見知った顔の女性。
「時間通りに来てくれた!ありがとう♪」
「うっさい。それよりも、もうこれで全員なの?」
「え?あぁ、まだあと一人来てないよ?」
「・・・誰?」
自分の友人であるだ。に駆け寄って話しかけると、いつものようにサラッとした言い方。の質問に答えようとしたら、銀次がに駆け寄った。
「うわ〜!君、綺麗だね!!あ、俺は天野銀次!名前はなんて言うの?」
いつものように銀次が明るい笑顔でに自己紹介をしていた。流石のもこの元気さには驚いたような顔をした。少し貴重な表情だとは密かに思った。

「・・・オレは。運び屋をしてる」

「へ〜!じゃあ、今回のフルート奪還の仕事の関係者だね!」

「フルート・・・それが親の形見?」

え、形見??

 銀次が余計なことを言ってしまった。朝の蛮の気持ちがすごく分かってしまった瞬間。気まずい、と思いながらを見ると、あからさまに疑問に思っていることが分かる。ふと、視線を向けられて反射的に顔を逸らしてしまった。

























・・・

ぅぁー・・・;;;;



























 自分の様子を見られてはきっと何か分かったんだ、と思いながら恐る恐るを見ると、銀次に質問をした。
「なぁ、あんたが聞いたのはどんな仕事の内容だ?」
「え?仕事の内容は、依頼人の夫がオーケストラでいつも練習で使っていたフルートがライバルに自分が使っていたフルートとまったく別のものにすり替えられちゃってて、それを奪還するって仕事でしょ?」
「・・・そうだったなぁ??」
明らかに不機嫌そうに銀次に同意してに聞いてきた。やばいやばいとは内心冷や汗をかいていた。

「じゃ、オレは帰る」

「ちょ・・・ちょっと待ってよ、!!」

 は慌てての向かう出口のドアを塞いだ。は更に機嫌を悪くしたらしくを睨んだ。

「オレは親の形見だって聞いたから仕事を引き受けたんだ。それが男のフルートの奪還?冗談じゃない」

「けど、一回仕事引き受けたんでしょ?だったら・・・」

「こんなの詐欺だろ?」

 一歩も引こうとしない。無理矢理をどかしてドアを開けようとしたその時。















「お前もプロなんだろ?」















 先程まで何も言わなかった蛮が口を出してきた。は蛮に視線を向けた。
「一回引き受けた仕事、こなしてみろよ」
「・・・あんたは誰だよ?」
ムッとしたはそう聞き返した。すると、タバコを取り出しながら名前を言ってきた。

























「俺はゲットバッカーズの美堂蛮様だ」



























 偉そうに名前を言っていた。はため息を付いた時・・・の顔が見えた。その顔は、自分が見たことのない表情。悲しそうでもあり、怒ってそうでもある複雑な表情。その後、は蛮を睨んでからカウンターの端の席に座った。は少し戸惑ってしまったが、銀次がすぐに声をかけてきた。
「ねぇ・・・ちゃんってあんなに怖い子なの?」
「んー・・・いつも以上だね・・・何かあったのかな??」
そんなことを話していたら、ドアが開いては驚いた。
「あ、悪ぃ。時間ギリギリだな」
「士度だー♪」
銀次は笑顔で士度を出迎えた。










「・・・士度?」
小さな声が聞こえたと思ったら、黒猫が士度の肩に乗ってきた。士度は猫が落ちないように支えながら驚いた。
「あ?何でお前が此処にいるんだ?
と言われた黒猫はカウンターへ首を向け、士度にカウンターを見るように言った。士度は大人しくカウンターに視線を向けると・・・。





「あんた・・・」

「・・・どーも」





 呆れたように顔を下に向けながらは挨拶をした。
「あれ・・・二人とも知り合いなの??」
銀次が聞くと、士度は『ちょっとな・・・』と答えただけだった。も気になったが、これで全員揃ったということで仕事の話を始めようと全員を一箇所に集めた。


















あとがき
 またまた久々の更新♪
もう皆様お忘れになってしまいましたでしょうか…;
両方の話を繋げるのって結構大変だということを知りました(苦笑)
                                  2005.05.09


ウィンドウを閉じてください。