ドリーム小説











あれから一人の時間が減りました















黒と白 Vol.3











 いつも一緒にいるさんの為に仕事を早く終わらせて家に帰り、食事の支度などをして来ました。さんは、常に私の側に居てくださり、色々と手伝いをしてくださいました。まぁ、料理を手伝おうとした時は焦りました。包丁の刃を手で触ろうとしていましたからね・・・他にも、カーテンを閉めたりしてくださったりもします。その全ての仕草が可愛らしく思えて失敗をしても怒る気にはなれませんでした。この時も、さんが枕で遊んでいる姿を眺めていると、携帯に仕事のことが記されたメールが届いたのです。

























「おや、仕事が入ったみたいですね・・・」



























 そう呟くと、さんが急に寂しそうに背中を向けながら尻尾を巻いてしまいました。これは、以前にもありましたが、きっと寂しいのでしょう・・・私はいつもさんに寂しい思いをさせているような気がして私の中の小さな人間の感情が痛みました。申し訳ない気持ちで仕事の相手と電話をしながらさんの頭を撫でると、何故か落ち込まれました。よく分からなかったので、電話が終わるとすぐに私はさんを膝に座らせ、また頭を撫でました。
さん、すみません・・・また仕事が入りました。今日はアナタが私のところに来て一週間目で怪我の具合をよく見たかったのですが・・・」
いつもと違う私の様子に驚いたのか、オロオロしたように私を見ているんです。
「・・・クス・・・さん、今日はアナタが来て一週間目ということなので夜はさんの好きな料理を作りましょう」
そう言うと、嬉しそうに尻尾を振って私を見上げてきました。その反応が可愛くて私まで微笑んでしまいます。
「では、私が仕事に行ってる間、好きなものを考えておいてくださいね・・・」
身支度を始めたのですが、さんは何だか機嫌が良いみたいで私の動きに気付いてないのです。本当に素直な猫だ、と思いました。










さん?行ってきますね」










 何となくいつも玄関に来てくださるさんがいないと物足りない気がしてわざわざ靴を履かずにさんが来るのを待っていました。すると、慌てた様子でフローリングをカリカリと鳴らしながら慌てて見送りに来てくれました。
さん、留守番お願いしますね?」
靴を履きながら言って、私はまたいつもの温かい視線に見送られながら家を出ました。





―パタン―




















 仕事の待ち合わせ場所に到着すると、私は内容を頭の中で整理するとことにしました。まず、この場所に引き渡す人が現れて私が持ってきたフロッピーを渡せば完了のはず・・・ポケットの中にあるフロッピーを確認して時間が来るのを待っていると・・・。










―サァァァァァ・・・―




 細かい音が聞こえたと思ったら、服が裂け、キラキラとした周りにあることを思い出した。

























「これは・・・」

「やぁ、ジャッカル」



























 予想通りの人物・・・鏡形而クンがいました。
「お久しぶりですね・・・もしかして、私が渡す相手とは鏡クンのことですか?」
「いや?俺はそのフロッピーを壊しに来たんだよ」
「ということは・・・敵ですか?」
「だろうね」
その声と同時に私と鏡クンは攻防を始めました。向こうが私に攻撃をしたとき、私はメスでかわしてすぐに新たなメスで鏡クンを攻撃しても、彼も上の住人。私と同じように鏡を使って私のメスを弾き返す・・・その繰り返しです。
「クス・・・」
「ジャッカル、君との決着は付いてないから楽しみだよ・・・この勝負が」
鏡クンがそう言った瞬間、私の頬と足に一瞬だけ痛みが走ったのです。よく見ると、私の後ろにはいつの間にか鏡があり、最後に放った二枚の鏡がそれに反射して私を傷つけた・・・これは本当に楽しめそうですね・・・。

























『ミャー・・・』



























 ふと、さんのことを思い出したんです・・・そう、私は彼女と約束をしました。今日は彼女と出会って一週間目だからと・・・。

「クス・・・実に君とは戦ってみたいんですけどね・・・鏡形而クン」

「ジャッカルがいるって聞いたから来たんだよ・・・俺なら不足はないだろ?」

「確かにそうですが・・・今日は早く帰らないといけないんですよ」

「誰かよ約束でもしてるのかい?」

「えぇ・・・とても大切な方と、ね・・・」

 そう言えるほどさんが大切になっているんです。彼女との約束は守りたいと・・・彼女の喜ぶ姿を見たいと思える唯一の存在・・・だから。
「俺も仕事だからね・・・そろそろ終わりにしようか・・・」
私と鏡クンが構えて、物音がした瞬間・・・一斉に動いたと思ったのですが、私の足に痛みが走り、一瞬だけ鏡クンに遅れを取りました。
「ジャッカル、さっきの足の怪我が致命的なものになったね」
「・・・クス」
こんな状況でも楽しいと思える私はおかしいのでしょうか?そう思いながら私は攻撃をかわせないと考え、メスを用意していたら・・・。










―ドッ・・・―










 何かが当たる鈍い音が聞こえてきたんです。そして、私の足元にそれは落ちてきて・・・何かと思い、視線を落とすと・・・私の気持ちが騒ぎ始めました。

























「・・・・・・さん?」





















あとがき
 第三弾!!
ぅわ、鏡さんまでだしちゃったよ!!
次が最終回ですね…;
                                  2005.07.24


ウィンドウを閉じてください。