・・・?
「じゃ、今日はここまで」
先生がそう言うと、生徒が次々と荷物をまとめて話し始める。そんな中、またこの二人も騒ぎ始めた。
「あー、やぁっと授業終わったよ〜」
「だよなー。この授業の先生って分けわかんないよな」
二人ともやる気のない声を出しながら早々教室を出る。そして、向かう場所は昼時なので食堂。
「そういえばさ、授業中に何か言ってなかった?」
「ん?あぁ、今度小テストがあるからその範囲だよ?」
「マジで!?俺聞いてないし!!」
「あ〜あ、私知らないよ〜」
「んな・・・頼むよ〜!!」
そんな会話を繰り広げている。そんなことをしていると、いつの間にか食堂に到着。授業が早めに終わったため、人が少なかった。正直ラッキー。二人は急いで席を確保してそれから食券を買った。
「あ、は何したんだ?」
「私はスパゲッティ。そういうは?」
「俺はソバ」
二人はその後自分達が食べるものを買ってまた席に戻った。
「そういえば、?」
「何?」
「お前、この大学でも剣道続けるのか?」
「うん。やっぱり好きだからね。そういうあんたも柔道、続けるんでしょーが」
「当たり前」
とは中学から一緒でお互いをよく分かっている。高校も大学もそれぞれが自分で決めたことなのに一緒になってしまっただけ。いわゆる『腐れ縁』である。本当は二人とも一人が好きで誰かと一緒にいるということをしないが、何でかとはお互いが一緒にいても嫌にならない。むしろ、安心しているのだ。
「大学っていいよね〜。授業とか自分で選べるし」
「必修はあるけどな」
「そーそー。それが余計だよね」
あまり共通のものがない二人。だが、話は尽きないのだ。話す・・・というよりは、ちょうどいいこの距離感を楽しんでいる。
「・・・あ、今日本買う予定だったんだ」
「それってまた漫画?」
は、本が好きなのである。普通の小説などもそうだが、漫画も図鑑も・・・とにかく、『本』が大好きなのだ。
「今日はね、私の好きな作家さんの発売日☆今日はもう授業ないし・・・帰るね」
「だったら俺も帰る」
「え?」
「俺も授業ないし、それに丁度攻略本欲しいとおもってたんだよね」
「あんたはゲーム好きだもんね」
に対し、はRPGや格闘、レースゲームが好き。攻略本を買ってそのゲームを完璧にマスターしたがるのだ。
「じゃ、買いに行く?」
「おう」
そう言ってさっさと食事を済ませて大学を出た。
帰り道の途中の本屋に向かおうと歩いている二人。特に会話もなく、本当にただ歩いているだけ。だが、時々どちらかが話かけると、それに乗る。そして、話が尽きるとまたただ歩くだけ。この繰り返しをしている。回りから見れば多分変な二人なんだと思われているだろう。
「・・・ん?」
突然が声を上げた。
「どうした?」
「いや・・・何だかあの辺りの茂みが・・・」
『動いた気がした』と言う前にガサガサッと茂みが動いた。それに驚いた二人は、一気にその茂みから離れた。はを庇うようにたって、はそのの腕を掴んでいる。まだガサガサ動いている茂みを警戒していると。
「お前ら、相変わらずだな」
相変わらずと言われて、自分の知り合いか?と思ってみていたら、人影が見えた。
「よぅ」
そこに出てきたのは、長い髪を後で一つに纏め、スケスケの服を着て胸が見えている。『なんて露出狂な女なんだ』と二人は思ったが、声が妙に男っぽかった。それでこの突然出てきた人物が男か女か分からなくなった。そんな二人を見てその露出狂はクスクス笑っていた。
「何驚いてるんだよ、に玉鳴(ギョクメイ)・・・って今は違ったな。えーっと、に・・・だっけか」
一人で何か納得して話を進めている。とは呆気に取られながらお互いの顔を見た。
「・・・あの・・・」
勇気を出して声をかけてきたのはだった。
「あ?」
「あなたは誰ですか?それに、『相変わらず』と言われても私たち知らないし・・・」
「その前にあんたすっごい露出狂だなぁ・・・」
に続いても話かけてきた。
「あぁ、悪い悪い。俺は観世音菩薩」
「か・・・観世音菩薩?」
「それってあのカミサマのか?」
「そうだ」
そんな観世音菩薩は言った。だが。
「(いや、どうするよ?)」
「(って言われてもねぇ・・・本人、自分でカミサマって言っちゃってるし・・・私達のことしってるみたいな口調だし)」
「(けど、明らかに怪しいだろう。茂みから出てくるって時点で)」
そう言ってちらり、と顔をまた観世音菩薩を見た。その時。
「(・・・あれ?)」
「(?)」
「(ううん・・・なーんかどっかで見たような気がするんだよねぇ・・・)」
そんな小さな会議をしていると、飽きてしまったのか観世音菩薩が声をかけてきた。
「おい、」
「は・・・はい!?」
「もう時間がないんだ。ちょーっと一緒に来い」
そう言うなりいきなりの腕を引っ張る観世音菩薩。
「おいっ!!」
それに驚く。だが、そんなの目の前に手をかざした。
「大丈夫だって。お前らの『世界』の時間は止める。だから、お前とが会ってない時間はないはずだ。俺が喋り終わってもと俺はいるはずだ」
「はぁ!?何言って・・・」
の話の途中で周りの風景が変わった。は少しパニック状態になって腕を振るが、観世音菩薩に掴まれてるため、あまり効果がなかった。
「まぁまぁ落ち着けって」
そんなを宥めながら話を始めた。
「お前、俺のこと本当に知らないか?」
「はぁ!?だから、あなたみたいな人は・・・?」
「本当にか?よーく思い出せ?」
は先程からの違和感を感じ、記憶を掘り起こす。今まで生きてきた中で出会った人、何処で誰と出会ったのかの風景。そして、その人を証明できる何かを持っていないか・・・。そこまで探して何かが頭の中で引っかかった。
「・・・」
「・・・」
はもう一度観世音菩薩の顔を見てその引っかかったものを見つけようとした。自分が何をするにも面白そうに口は弧を描き、自分中心みたいな性格・・・そして、カミサマ・・・。
「・・・まさか・・・!!!?」
「お?思い出したか?」
「けど・・・そんな非現実的な・・・」
「思ったこと言ってみな?」
目を逸らさせてくれない。自分の意見はとてもじゃないが、起こるはずのないこと。
「・・・・・・『最遊記』の・・・自愛と卑猥の観世音菩薩サマ?」
「ひどい言い方だが、それが正解だ」
「・・・って、えぇ!!?」
当然の反応。の目の前にいるのは、自分が好きな漫画家・・・今日買いに行こうとした本の登場人物。だが、何で自分はそんな漫画の・・・架空の人物に会って会話をしている!?頭の中を疑問だけがぐるぐると巡る。
「まぁ・・・俺は神様だし」
あぁ・・・こういうところが観世音菩薩だわ・・・。
「話ってのはな。ちょっとやばいことになってんだよ」
「やばいって・・・漫画のことなんて知りませんよ」
「まぁまぁ。そのやばいことってのはな。三蔵一行の話、知ってるな?」
「当たり前じゃないですか」
「そんでよ・・・なーんだか牛魔王蘇生の影響で次元にちょっとした歪みが生じて変なもんが三蔵一行達の世界に入ってきてんだよ」
次元の歪み・・・?それは何か聞こうとは口を開いたが、音を発する前に観世音菩薩が話を進めてしまった。
「で、だ。お前にその原因を何とかしてもらいたいんだ。っつーか、何とかしろ」
「いきなり話し始めていきなり押し付け!?」
「そ。お前に決定権はない」
こんな強気なところが観世音菩薩だなぁ・・・とは溜息を付く。
「今から三蔵一行のところに送るからな。で、武器は・・・まぁ、何とかなるだろうな。がんばれ」
「は!?」
感情のこもっていない声援と驚きの発言。『今から三蔵一行のところに送る』!?そんなことできるはず・・・。
「じゃ」
抗論しようとしたが、今の自分を突き放したような声が聞こえた途端、自分の足場がなくなった。
「・・・っ!?此処何処!!」
『あぁ、そのまま落ちれば三蔵一行に会えるぞ』
「落ちるって!?きゃぁぁぁああぁぁぁああ!!」
は観世音菩薩の言ったとおり落ちていった。その様子を面白そうに眺める観世音菩薩。
「くっくっく・・・せいぜい楽しんで来いよ、・・・いや、今はだったな」
何で観世音菩薩!?
それよりも何で私は落ちてるの!?
それに、次元が歪んだって・・・
あぁ!!
何がどうなってるのかわかんないよ!!
あとがき
はい、こちらの最遊記は…現代のヒロインが漫画の世界に入るというありきたりな設定。
そして、なんと、これはもう一つのHPに連載させていたものを持ってきました!!
えぇ、ドリームでいけるじゃん。と思いましてね(笑)
あ、こっちのヒロインはもう一つの最遊記とは全く関係性がありませんから★
2004.09.06
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