挨拶
顔に温かい光が当たる。
「(そうか・・・確か昨日は野宿をして・・・)」
は昨日妖怪に遭ってしまった。そのために予定よりも旅の進みが遅くなってしまった。しょうがないので野宿が出来そうなところを探して寝たのだ。
「・・・はぁ・・・気持ち悪い・・・」
妖怪と闘って少し返り血を浴びしてしまったため、服にその血がついている。だが、必要最低限しか持っていないはその服を洗っていた。
「最近になって余計妖怪に襲われるようになったなぁ・・・」
この桃源郷の妖怪が自我を失っているのはもう分かっていた。だが、それがの予想を遥かに上回っていた。一日に何十もの妖怪に襲われる。何処からともなくだ。自分だけがこんなに襲われるのは何かおかしい。そう思い始めたのは三日前からだった。
「本当によかったよ・・・前の町で銃弾を補充しておいて」
色々考えていたらいつの間にか洗濯が終わっていた。汚れが落ちたか確認して乾かし始めた。だが、それは朝のうちだけ。少し乾いたら直ぐにこの場所を離れるつもりだった。
「次の町まであとどのくらいだろ・・・」
「君の足ならあと三時間で着くよ?」
聞こえるはずもない声がの独り言に答えた。驚いて振り返ると、見たことのない男が立っていた。
「やぁ、ちゃん」
白衣を着ている男。その笑い方は何だか好きにはなれない。何か裏がありそうで・・・しかも、一人前の男がウサギのぬいぐるみを持ち歩くなんて・・・怪しすぎる。
「・・・何で私のこと知ってるの?」
「つれないなぁ・・・でも、こうして会うのは初めてだから仕方ないかな」
「私の質問に答えなさい」
「まぁまぁ、そんなに怒らないでって。折角綺麗な顔をしてるんだからさ」
男のその態度と絡むような視線が嫌でいつもよりも機嫌が悪くなっていた。は怒鳴ろうとしたが、男の発言によって発せられないものとなった。
「光明三蔵」
「!?」
「あ、反応してくれた」
が驚く反応を見て面白がっている。もう怒るよりも聞きたいことがあった。
「何で・・・あんたが光明を知ってるの?」
「ん?あぁ、君、光明から聞いてない?」
『何を?』と視線で訴えた。それに答えるようにその男はに近づいた。
「僕は烏哭・・・あぁ、今はニィ健一って言うんだ♪」
「烏哭・・・!?お前は!!」
「あ、僕のこと知ってる?」
知っているといっても名前だけだ。光明が最後の日に言ってくれた。
『烏哭は曲者ですから』
はもう一度ニィを見た。確かに一癖も二癖もあるように見える男だ。だが・・・。
「貴方『三蔵』じゃないの?」
「ん?あぁ、ちょっとね。今は『博士』として吠登城で働いてるんだよね」
「吠登城・・・?」
「まぁ、とにかく西にあるんだよ。しっかし・・・君ももうちょっと大人しくしててよ。探すのに余計な妖怪使っちゃったじゃない」
がニィの話と光明のことを思い出していると、思いもよらない言葉が聞こえてきた。
「・・・『余計な妖怪』?」
「そ。君がこの数日、多くの妖怪に襲われたのは全部僕が仕向けたこと。どうしても君に会いたかったからね」
自分を探すために何人もの妖怪を犠牲にしたと・・・!?はそんな行為に怒りを感じた。その瞬間、はニィの胸倉を掴んでいた。
「あんた・・・何で私一人を探すためにあんな犬死させるような真似をさせたの!?」
「挨拶代わりだよ。しかもあれは妖怪だろ?」
「妖怪だろうと人間だろうとなんだろうと関係ない!一つの・・・かけがえのない命があんたの所為で!!」
「でも、それほどの価値があるんだよ。君にはね」
「え・・・?」
ニィはに価値があると言った。それはどういうことなのだ?自分はただの人間。何の能力もないはず・・・。
「まだまだ甘いんだね、」
声がしたと思ったら目の前にニィの手がかざされた。その瞬間、身動きが取れなくなった。
「君の中から・・・引きずり出させてもらうよ?」
何を?と聞く前に身体の中が熱くなった。発熱ではなく、何かもう一つの『存在』が現れてくるような・・・一体自分の中には何があるというのだ!?
「い・・・やだ・・・」
熱くなると比例して意識も遠のいていく。自分が自分でいられなくなる感覚に恐怖を覚えた。
「やだ!!放せ、放せぇ!!!!」
叫んだ瞬間・・・
眩い光がを包んだ
あとがき
はい、ニィが出てきました。
えぇ、オレ的にはかなり好きなキャラです。
あのウサギが…vv
ま・まぁそれはいいとして…とにかくニィと接触(無理矢理)させられてよかった!!
2004.08.22
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