前世
「なっ・・・!?」
ニィはあまりの眩しさに手を放してしまった。次に目を開けたときにはの姿が跡形もなく消えていた。勿論、荷物もだ。
「・・・く・・・くくく・・・」
何が起こったのか分からないが、何か手ごたえがあったらしい。
「本当には飽きないなぁ・・・これからが楽しみだ」
いつの間にか落としていたウサギを持ち直して吠登城に戻ろうとした。
「ああいう子・・・手元に欲しいなぁ・・・」
その一言は、何処か狂気染みた言い方だった。
突然光が自分を包んで・・・それからはもう気を失った・・・ということは分かる。だけど・・・。
「、気が付きましたか!」
「ほら、お前が心配しなくても平気だったろうが!!」
今、は知らない男の腕の中にいた。もう一人も心配そうに覗き込んでいたが、と目が合うと、少し強気になって今みたいな発言をしていた。
「怪我はないようで我々も安心しました・・・」
「おい、闇爾(あんじ)!さっさとそいつ放せって」
「な・・・そいつとはに失礼ですよ、艶光(えんこう)!!」
「っていうか、貴方達誰?」
それが第一の感想。それを聞いた艶光と闇爾が止まった。はその止まった二人を交互に見ていた。
「・・・私達を知らないをお忘れですか!?」
「ちょっと待てよ、!!俺らがどれだけお前を待ったことか・・・」
「ちょっと待てはこっちの台詞よ。私は『』っていう人じゃないの」
「けれど、私達は・・・」
「お前らを知らないのは仕方ねーよ」
別の声が聞こえてきた。ただでさえ混乱しているのにまた知らない誰かが来たとなればの収拾が付かなくなってしまう。
「観世音菩薩様!?」
「どういうことだよ、仕方ないって」
「そいつは『』だ」
「ですが、私達はから出てきて・・・」
「あぁ、はの生まれ変わりだからな」
「生まれ変わり・・・そうか・・・そうだよな・・・」
「はあの時・・・」
を無視して話を進めている三人をは観察していた。
この自分を抱えている闇爾って人は、優しい。長い黒髪が光に反射して綺麗に見える。というか、本当に綺麗なのだが。黒髪と同じ黒い瞳が何だか温かく見える。
自分の顔を覗きこんでいた艶光という人は、正直言って怖い。黙っていればその短い金髪とそれと同じ金色の瞳が神々しさを増しているのだが、言葉遣いが悪いので喋っていると不良に見える。
最後に出てきた観世音菩薩って人は、露出狂ではないのか?と思う。だが、よく考えてみれば、観世音菩薩というのは神様で慈愛と慈悲の象徴・・・けど、今みている神様は・・・とてもそうは見えない。
「おい、」
観世音菩薩がに話しかけてきた。
「私は『』じゃないんです」
「あぁ、そうだったな。」
「それで、貴方達は一体何なんですか?」
観世音菩薩が艶光と闇爾を見た。すると、二人は静かに頷いた。それを確認すると、観世音菩薩はに近づいた。
「お前、さっき変な男に『封印』を解かれただろ」
変な男・・・とは、烏哭のことだろう。は頷こうとしたが、一つ気になることがあった。
「あの・・・『封印』が解かれたって・・・?」
「それを話すとなるとお前の前世の話からしなきゃな」
「前世・・・」
「お前の前世は『』と言って此処にいる艶光と闇爾の主だ。そして、この天界で巫女として・・・それと同時に異端としてこの少し行った建物で閉じ込められていたんだ。まぁ、閉じ込められていたと言ってもお前はよく外に出ていたけどな。事情の知らない連中はお前を慕ってたみたいだったし・・・」
前世??主?天界?巫女?異端?
「待って。よく話が分からない・・・突然前世だとか天界だとか言われても・・・今まで普通に生活してた一般人だし・・・」
「そりゃそうだろう。が生まれ変わっても争いが起きないようにってこの二人をお前の『魂』に自ら封印したんだから」
「魂・・・」
が話の内容を確認していると、艶光と闇爾がの前に跪いた。
「・・・いや、。俺達はこの500年・・・ずっと貴女を待っていた・・・」
「私達はいつも貴女の側におりました・・・」
「俺達は、貴女を護るために存在している」
「この現世に出られた今、もう一度貴女を護らせてください・・・」
先程の態度と違い、まるで従者の様な振る舞いには驚いた。
「ちょ・・・跪かないでよ」
「」
艶光達を立たせていると、観世音菩薩が話しかけてきた。
「もう時間がねぇ。こいつらを受け入れるかどうかは後にして俺の話を聞け」
物凄く偉そうな態度だったが、自分の身体が光りだしてそれどころではなかった。
「お前は玄奘三蔵を知っているな?」
「玄奘・・・!光明のあとを継いだ人!!」
「これからはそいつらと旅をしろ」
「旅・・・?」
「目的地は・・・西にある吠登城だ」
目的地を聞いては目を見開いた。吠登城は先程自分を酷い目にあわせたニィがいる場所・・・。
「・・・わかった。私もそこに用があるから」
その答えに満足したのか観世音菩薩はある方向を指差した。
「そりゃよかった。じゃあ、自分の目的の為に・・・」
西へ―――――――
あとがき
これで大体キャストは揃いました―。
えぇ、此処まで長かったですね〜。
艶光・闇爾は結構オレ的に気に入ってます。
こういう友達、欲しいなぁ…。
2004.08.22
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