出会い



 一晩野宿して次の日の昼頃に町に着いた。これは、運よく妖怪に遭遇しなかったから予定よりも早く町に着いたのだ。
「よっしゃー!部屋もシングル取れたし、町は賑やかだし!八戒、買い物に行こうぜ!!」
「あはは、悟空は余計なもの買いますからねー」
「あ、買い物行くんだったらさー・・・」
「何を言ってるんですか?悟浄も一緒ですよ?」
「は!?」
「肉体労働は悟浄の特権だって悟空が言ってたじゃないですか」
悟空は自分で言ったことを八戒が言ったのが面白いのか、いつものごとく八戒に纏められているのが面白いのか分からないが、爆笑している。そんな悟空に腹を立てたのか、悟浄が悟空に猿と連発している。まぁ、簡単に言えばいつものことが始まったのだ。もうそんな状況に慣れた八戒は三蔵に何か欲しいものがないか聞いた。
「三蔵、何か欲しいものありますか?」
「いや・・・煙草はまだあるから特にはない」
「そうですか。では、僕達行ってきますね」
まだ騒いでいる悟空と悟浄を宥めながら部屋を出た。その姿はまるで幼稚園児と保父さん。三蔵は静かになった部屋で煙草を吸いながら新聞を読んでいた。

























 三蔵は、新聞を読み終わらせてテーブルの上に置いた。煙草の煙を外へ出そうと窓の方へ顔を向けたら・・・。




















「よ」























 出た。というか、どうして窓にいる観世音菩薩。確かここは3階のはずだ。それなのに、悠然と窓に立って三蔵を見ている。そもそも、何故窓?だが、いつまでもそんなところに立っていられても困るので三蔵は手っ取り早く銃を向けた。



「貴様、何故ここにいる!!」

「まぁまぁそんなに怒るなって、金蝉」

「俺は金蝉なんかじゃねぇ」

「そんな細かいことはいいじゃねーか。それよりもお前に命令だ」



 三蔵は不機嫌MAXで観世音菩薩を見た。



「お前のこの旅にもう一人連れて行かせる」

「あ?これ以上むさ苦しく・・・」

「女だ」

「足手まといはいらねぇ」

「強さは保証する」

「大体なんで俺が・・・」

「命令だからな」



 ああ言えばこう言うみたいな会話を繰り広げていた。三蔵はうんざりして無視することにした。だが、観世音菩薩は気にしないかのように話を続けた。
「そいつの名前は。性別女。見た目はメチャクチャ美人だぜ?俺が惚れ惚れするほどな」
「ふん・・・そんなの関係ねぇ」
「まぁ、お前が何言ってもコレは決定事項。そろそろもここに到着するだろうし・・・あとはがんばれよ」
「おい、どういうこ・・・」
三蔵がどういうことだ?と聞こうとしたらすでに観世音菩薩はいなかった。また一人になった三蔵は呆然とするしかなかった。『そろそろもここに到着する』だと?
「ここにって・・・この部屋か?」










―ドサッ―





 何かが落ちる音がした。三蔵が驚いてその方向を見ると、ベッドに見知らぬ女が倒れこんでいた。黒に近い長い髪がとても邪魔そうだ。
「いった・・・」
どうやら三蔵に気付いていないらしい。
「おい」
「え?」
目が合った。

























 は三蔵の顔を見て懐かしい感じがした。神々しいまでの金糸の髪、それに紫の瞳・・・その面影が何処かで見たような・・・。
「おい、聞いてるのか」
「・・・ぇ?」
「てめぇ、何者だ?」
『ガチャリ』と銃口がの額に向けられた。だが、銃を突きつけるなどということは今までの生活で十分に知っていた。だからさほど驚きもせず今の状況を把握しようと試みた。
「・・・此処は何処?」
「あ?質問してるのは俺だ」
「そうだったね。私は。どこぞの卑猥な神様に飛ばされたみたいなんだけど・・・」
・・・ということはこの女がさっきババァが言ってた女か。
「そりゃ災難だったな」
三蔵はが誰か分かったが、まだ信用していないらしく銃を向けたまま。
「私は答えたわ。今度はこっちの質問に答えて。此処は何処」
「宿屋だ」
「そりゃあ・・・みれば分かるけど・・・」











―ガチャッ―










「たっだいま・・・ぁ?」
「悟空!てめぇも少しは荷物持て・・・って・・・」
「まぁまぁ二人と・・・も・・・」
いつものように帰ってきた三人だったが、目に入ってきた光景は、三蔵が女性に銃を向けている状況。しかも三蔵の機嫌は不機嫌。



「てめぇら・・・」

「・・・って、三蔵!?」

「何やってるんですか?」

「三蔵、女に銃向けるなよ!!」



 慌てて三人は三蔵との方へと近づいた。
「三蔵・・・って、貴方が!?」
「あ?」
信じられない。僧侶の癖に銃を向けたり煙草を吸ってたり・・・そしてこんな脅しまがいなことをして。
「じゃあ、私・・・あんたみたいなエセ坊主と旅しなきゃいけないの?」
「・・・そんなに死にてぇのか!!」
の言葉に切れた三蔵。それを必死に押さえる悟空と悟浄。とりあえず誰なのかを聞くためにの近くに座る八戒。
「とりあえず・・・こちらでゆっくりお話しましょうか」
「あ、はい」
はまともな人だなぁと思いながら騒がしい部屋を後にした。



















あとがき
 やっと三蔵一行に会えました さん!
しかし、最初に会ったのが三蔵だとは…幸運と言うべきか不運と言うべきか…;
                                  2004.08.22



ウィンドウを閉じてください。