かき氷

 

 セミも本格的に鳴き始めたこの時期。蛮と銀次はスバルの中にいることに耐えられなくなってホンキートンクで涼んでいた。

「あっつ〜・・・」

「んぁ〜・・・」

「お前ら、もう少ししゃきっとしろよ。俺まで暑くなる」

波児はカウンターで溶け始めてるかのように見える二人を見ながら新聞を広げていた。

「でもさぁ、暑いよね・・・特に今年は」

「だよな。ったく、何でこんなに暑いんだよ!」

暑さのあまりツケで飲んでいたコーヒーを叩き割ってしまった。

「・・・蛮。それ、マイセンだからな」

「ぐぐぐ・・・」

「またツケが〜()



















 

―カランッ―

「いらっしゃい・・・ってあぁ、あんたか」

随分と親しげに話す波児につられて二人は視線を入り口に向けた。

「・・・お前ら何やってるんだ?」

「あ、士度!」

銀次が嬉しそうに名前を呼ぶが、暑さのためかすぐにたれてしまう。一方、蛮はマイセンを直そうと接着剤を片手に苦戦していた。士度は本当に何をやっているんだろう・・・と疑問に思ってしまった。そんな士度を気遣うように波児は席をすすめた。

「まぁ、入り口って暑いだろ?中に入って涼みな」

「あぁ・・・」

カウンターに座るとアイスコーヒーを頼んだ。それを聞き入れて広げた新聞をまたたたんでコーヒーを作り始めた。静かな空気が漂ってきた。

「はぁ・・・暑いです・・・」

「銀次;そんなに暑いんだったら氷でも買ってこいよ」

「氷?」

いきなり士度がそんなことを言ってきて驚いた銀次は聞き返してしまった。勿論、驚いたのは銀次だけでなく蛮もそうだった。

「あぁ、今日は『かき氷の日』らしいからな。折角だし、かき氷でも食べないか?」

「猿まわし。氷っつってもかき氷作る機械が・・・」

 



















―カランッ―

「マスター!これ、可愛いと思いませんか〜?」

元気よく入ってきたのは夏実だった。こんな中、外に居たなんてすごいなぁ・・・と銀次は思った。

「夏実ちゃん?それ何?」

「えへへ〜・・・ジャ――ン!」

 









「「「「あ――――――!!」」」」











 

 夏実が持っていたのは、今噂していたかき氷を作るためのかき氷メーカー。それを見て銀次が真っ先に喜んだ。

「やった!これでかき氷作れるよ!!」

「あ、それいいですね!マスター、早速これでかき氷作ってみてもいいですか?」

「あぁ、好きにしなよ」

波児の許可もとった銀次と夏実は嬉しそうにかき氷の準備を始めた。

「・・・美堂?」

いつもよりも静かな蛮に気付いて士度が声をかけた。そこには未だにマイセンを接着剤でくっつけるという細かい作業をしていた蛮がいた。

「おまえ・・・」

「うるせー」


「蛮、そんなことしても弁償だからな」


すかさず波児が蛮に言った。

「ま・・・がんばれ」

「そんな励ましなんていらねぇよ!!」

仕事はしっかりこなすのに何で金がないんだろう、と士度は本気で思った。まぁ、ただ金運がないだけなのだろう・・・。と、そんなことをやっていたらかき氷の準備が出来たらしく、氷やシロップが準備されていた。

「出来た!」

「早速作りましょう!」

異様にやる気のある夏実と銀次がかき氷を作り始めた。











―ガリガリガリガリ―

五月蝿いと思うが、夏らしい音に蛮や士度は聞き入っていた。

「・・・っと!一つできたー!!」

「誰が食べますか?」

「俺様に決まってるだろうが!」

なんだかんだ言っても蛮も楽しみにしていたらしい。銀次の手の中からかき氷を奪った。

「あ!蛮ちゃんシロップ!何味がいい?」

「何があるんだよ」

「えっとですね〜・・・イチゴ・メロン・レモンです!」

「・・・・・・じゃあレモン」

「わかった!・・・はい!」

銀次が嬉しそうにシロップをかけて蛮に手渡す。食べ物のこととなると銀次はすごい。シロップと氷の絶妙なバランスが保たれていた。シロップをかけすぎでも少なすぎでもない・・・丁度飽きのこない程度の量だった。

「おぉ・・・銀次うまいな」

「えへへ〜」

褒められて嬉しかったのか、今度は士度の分を作り始めた。

「士度、シロップは?」

「あ?あぁ、メロン」

「はいは〜い★」

こうやって全員分を作り終えたところで夏実が立ち上がった。

「それではみなさん!ありがたく頂きましょう★」


























「「「「「いただきます!」」」」」


























 暫くすると、山ほどあった氷がきれいさっぱりなくなっていた。

「んぁ〜・・・幸せvvv

それは、銀次がほとんど食べてしまったからである。

「ぅわ・・・銀ちゃんすごーい!」

「そんなに食って平気なのか?」

夏実と波児が銀次に声をかけた。

「う?平気平気★」

「けど・・・15杯だろ?」

士度が驚きながら銀次に言った。銀次はさして気にしないかのようにニコニコと上機嫌だった。

「あー、食った食った」

「美堂・・・おめぇも食べすぎだ」

「あ?たかだか10杯だろ?平気だって」

その時・・・。






「「「(奪還屋・ゲットバッカーズ・・・侮れない!!)」」」






その場にいた人はそう思ったに違いない。

 何はともあれ、暑い日に食べるかき氷は最高だ!!

 























―おまけ―

 「・・・」

「・・・」

「・・・バカか?」

お腹を壊して一週間ほど寝込むゲットバッカーズの二人。ある意味侮れない()


あとがき
 何か、七月二十五日って『かき氷の日』らしいですよ?
そんなわけでこんな甘くもギャグでもないお話になってしまいました;

                                  2004.07.25

 

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