願い〜屍銀サイド〜
まだ暗い時間・・・時計を見ると、まだ午前二時を回ったところだった。赤屍は仕事があるからみんなに気付かれないように帰り支度をしていた。
「もう帰っちゃうんですか?赤屍さん」
カウンターに視線を向けると、そこには銀次が座っていた。いつの間に起きたのだろうか。
「・・・えぇ、仕事がありますから・・・」
「そっか・・・」
少し寂しそうにする銀次を見て赤屍は銀次に近づいた。
「すみません、銀次クン・・・」
「え?赤屍さん??何で謝るんですか?」
「私が銀次クンを悲しませてるからですよ・・・」
赤屍にそう言われて銀次は『あぁ・・・』と理解したらしい。
「大丈夫ですよ、赤屍さん!そりゃあ、あまり会えなくて寂しいと思ったりします・・・けど、オレは赤屍さんを信じてますから!」
「ですが・・・」
「心配してくれてありがとうございます!それだけでオレは十分幸せです!」
まだ幼さの残る笑顔を見せてくれる銀次。赤屍はそれだけで幸せなのだ。しかし、やはりどこか寂しそうな銀次。寂しそうな顔をしないでほしい。悲しませたくない、傷つけたくない・・・そんなことを思えてしまうほど赤屍は銀次を愛しているのだ。
「・・・銀次クン、私が帰った後に私の短冊を見てください」
突然赤屍が銀次に言った。
「え・・・でも、願い事を他人に言うと・・・」
「えぇ、ですから、『見て』ください」
「は・・・はい・・・」
少し混乱気味の銀次を可愛く思う赤屍。どこまで自分は銀次に溺れているのか想像が出来なくてクス・・・と一つ笑った。
「では、また近いうちにお会いしましょう」
ドアを出る寸前で銀次の顎を上に向けて頬にキスをした。赤くなる銀次を最後にドアをくぐった。
店内にベルの音が静かに聞こえた。その音でみんなが起きる気配はなかった。静寂が訪れた時、銀次は赤屍に言われたことを思い出した。
「そうだ、短冊・・・」
音を立てないように店を出た。ドアのすぐ近くに笹の葉があって何枚もの短冊が風に揺れていた。その中から赤屍が書いたものを探し当てた。
「あった・・・えっと、赤屍さんの願いは・・・」
それを目にして銀次はまた顔を赤くした。そして、優しく微笑んだ。
「赤屍さん・・・」
銀次は嬉しい気持ちで胸がいっぱいになった。すると、銀次の短冊も表に出てきた。それを見てまた微笑む。
「オレ・・・幸せですよ、赤屍さん・・・」
銀次は自分の短冊を赤屍の隣へ移動させてまた店内に戻った。起きるには早過ぎる時間だったので眠ることにした。
「赤屍さん・・・大好きです///」
そう囁いて夢の中へ入った。そんな二人を表すように短冊が優しく揺れた。
―銀次クンと幸せになれますように―
―赤屍さんと幸せになれますように―