暑さに負けず劣らず
タバコを切らした蛮が散歩がてらに歩いていると、急に声をかけられた。
「よぉ、美堂」
「・・・猿まわし?」
いつもは蛮から声をかけるのに、今日は士度から声をかけてきたので蛮は少し驚いた。
「お前、また仕事がなくてふらついてるのか?」
「てめーには関係ないだろ?」
「まぁ、そうだな」
苦笑しながら士度が蛮の隣を歩く。嫌ではないので蛮は何も言わずにそのまま歩く。
「・・・今の言い方だと、お前は仕事か?」
「あぁ、今から仕事の話があるからホンキートンクに行こうとしてたんだよ」
「それでか・・・」
「どうした?」
「何でもねぇ」
蛮は先ほど声をかけられたとき、驚くよりも喜びの方が大きかった。それは、普段されないことをされたからであった。そして、七月から全くと言って良いほど暇がない士度に会えたからだ。けど、仕事に向かう途中で自分にあったからついでに挨拶をしただけなのだ、と。
「何でお前ばっかり仕事が入るんだか・・・」
「そう拗ねるなよ」
「拗ねてねぇ!」
そんな言い争いをしながら二人はホンキートンクに向かった。
―カランカランッ―
ホンキートンクのドアのベルが鳴ると、銀次といつの間にか来ていたヘブンと花月が蛮達を見た。
「蛮ちゃん、お帰り!それに、士度!!」
「よぉ、銀次。久しぶりだな」
「士度くん、こっちに来て?仕事の話をするから」
ヘブンに呼ばれて士度はボックス席に向かった。それを見送ってから蛮が不機嫌そうにカウンターに座る。
「蛮ちゃん?何か機嫌悪い?」
「けっ・・・なんでもねぇよ」
新しく買ったタバコを開けて、一本吸うが、気分が晴れない。イライラしたまま士度の方を見れば、士度は花月の隣に座ってヘブンの話を聞いている。妙に花月が士度の隣にいるのが自然に見えてまた蛮は苛立つ。舌打ちをして吸ったばかりのタバコを灰皿に押し付けた。
「・・・じゃ、そういうことでお願いね」
「わかりました」
「こっちは任せろよ」
話が終わったらしく、ヘブン達は立ち上がった。蛮はその音を聞いて視線を士度に向けた。すると、こっちを見ていた士度と目が合ってしまう。
「・・・おい、美堂」
「あ?」
名前を呼ばれて反射的に返事をすると、士度が蛮の頭を撫でた。
「そんなに睨むなって・・・この仕事終わったらしばらく暇になるからよ」
「・・・は?」
何が言いたいのか蛮は分からなかった。突然そんなことを言われても自分にどうしろと?というような視線を士度に向ける。
「七月から仕事ばかりでお前に構えなかったからな・・・この仕事終わったら暇になるから・・・そうなったらお前に付き合うからよ」
「な・・・!?」
「だからそれまでもうしばらく待ってろ、な?」
そう言って蛮の頭を撫でていた手を離して外に出て行こうとした。
「ぁ・・・おい、猿まわし!」
「何だよ?」
「・・・早く帰って来い・・・」
「・・・あぁ、分かってる」
微笑みながら言って店を出て行った。カランと鳴る店内が静まり、蛮はカウンターにまた座った。
「よかったね、蛮ちゃん!」
「うっせーよ・・・」
先程までの苛立ちはなくなっていて、士度の帰りを大人しく待っている蛮がいた。
オマケ
あれから三日後。
「はぁ!?お前、何してんだよ;」
「うるせぇ!お前が帰ってくるのが遅いからだろうが!」
蛮は士度が帰ってくる前日に車をレッカーされていて近場しかでかけられなかったようだが、それなりに楽しめたらしい。なんだかんだ言っても、夏より熱い二人だったのだ(終われ)
あとがき
はい、残暑見舞い申し上げます。
こんな二人が大好きで、今度、このデート風景でも描きたいなぁ///
2005.08.12