月明かり

 

 仕事が深夜までかかってしまって疲れ果てていた蛮だったが、銀次と離れてある場所へ向かった。

 





















 満月・・・人工的な光を使わなくても十分に視界が明るかった。だから、こんな自然な感じは久しぶりだと安心していたら。

「おい、猿まわし!起きてるか?」

「な・・・美堂!?」

いきなり窓から姿を現してやって来たのは美堂蛮。驚いたが、今日は寒い。だから、早々と部屋に入れてあげた。

「・・・っあ〜・・・寒い・・・」

「当たり前だ!こんな時間に何のようだ?普通なら寝てるぞ?」

士度は言いながらも温かいスープを用意してくれた。備え付けの簡単なものだったが、蛮にとっては有難かった。ほれ、と押し付けられ気味に渡されたスープを素直に受け取った。

「いいじゃねーか。結局は起きてたんだからよ」

悪戯好きの子供みたいに笑う蛮。

「全く・・・」

月明かりに照らされる士度は綺麗だった。いつもみたいに髪は立っていなく、おろされて・・・いつもと違う士度の姿にすこし照れて目を逸らした。士度は蛮の不審な行動が少し気になった。






「・・・どうかしたのか?」

「あ?別に何でもねーよ。それより、電気つけないのか?」

蛮が話を逸らして電気をつけようとした。

「つけなくていいじゃねーか」

士度がそう言った。蛮は何でか聞こうとまた士度を見た。士度は優しい目で空を見ていた。また一つ胸が高鳴った。


























「月明かりがこんなに綺麗なんだ。勿体無いだろう?」


























 士度が優しく蛮の方を向いた。蛮は金縛りにあったように動けなくなった。

「美堂、お前もこっちに来るか?」

暫く士度を睨んだが、士度も蛮を見ていた。蛮はこの士度の目に弱いのでしぶしぶ士度の近くへ行った。士度が空を指差した。蛮もそれに倣って見ると、確かに綺麗な満月だった。

「・・・な?」

見とれているところで蛮に同意を求めた。すると。

「そう・・・だな・・・」

蛮は意外と素直に同意してくれた。

「士・・・度?」

いきなり振り向かれて士度は驚いた。

「何だ?」

「今日は突然来て悪かったな・・・でも、何でか来たかったんだよ・・・」

その感情が何だか詳しくは分からなかったが、一番近い表現は愛情なのだろうと心の中で蛮は思った。

「・・・別にいいさ」

士度はそういう行動をとってくれた蛮が可愛く思えた。

「もう遅いし、寝るか?」

「そうだな・・・んじゃ、お前はソファーな?」

「な・・・なんでココの部屋の所有者の俺がソファーなんだよ?」

「固いこと言うなよ?」

「お前がソファーで寝ろ」

「イヤだ!」

そんな不毛な口論が続いた。

 


























―で、結局―

「てめぇ!もっと向こうに行けよ!」

「お前があっちいけ!元は俺のベッドなんだよ!」

二人でベッドの上で寝ることになった。起きているときはお互いのプライドの為に意地を張っていたが、次の日になるといつも向き合っているのだ。そんな不器用な二人を暖かく照らしている満月が夜空に浮かんでいた。









あとがき
 士度蛮ですね・・・。
オレの中の士度蛮は士度がちょっと鈍くて、蛮は誘い受け(笑)なんですよ。
これから先、蛮には苦労してもらいたいな・・・という願いも込められています。
あー、士度のベッドって気持ち良いんだろうなぁ・・・

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