感触
朝から八戒と悟空は買い物へと出かけて今暇を持て余している三蔵がいた。しばらくは新聞を読んでいたが、あることに気が付いた。
「・・・あの河童は何処に行った・・・?」
一通り部屋の中を見たが、姿が見当たらなかった。気配も。
「ふん・・・」
まぁいいか。とまた新聞に視線を戻した時、ドアが静かに開いた。そこには、見慣れた『紅』があった。三蔵はため息をついてその『紅』に声をかけた。
「・・・おい」
すると、なんとも大げさな反応を示してきた。少しすると、ゆっくりと三蔵のほうを向いた。
「よぉ・・・三蔵・・・」
何故か気まずそうな笑顔を見せてくる『紅』の持ち主の悟浄。さらに、挨拶と同時に何かを隠したようだ。三蔵はそれを見逃さなかった。
「今、何を隠した?」
「え・・・あーっと、何のことだ?ってか、三蔵、八戒達と出かけなかったの・・・」
「何を隠した?」
三蔵は話を逸らそうとする悟浄の言葉を遮って質問を続けた。それに観念した悟浄はテーブルの上に袋を置いた。その中にはクッションが入っていた。
「・・・何だ?これは」
「え?見てわかんない?クッション」
「そんなことは分かる!何でクッションがここにあるんだと聞いてるんだ」
「いや、これ触ってみろよ!」
そう言って悟浄は三蔵の手を取ってクッションに触れさせた。三蔵は触ったことのない感覚に少し驚きながらも悟浄を睨んだ。
「・・・で?」
「触り心地よくない?これ、パウダービーズってんだよ。これを見かけてさ〜、もう一目惚れで買っちゃったんだよ」
「誰の金でだ?」
「もちろん、三蔵の・・・」
―ガウンガウンッ―
銃声が鳴り響いた。悟浄は二発の銃弾を軽く避けて三蔵に言った。
「何だよ!いいじゃねーか!」
「何で貴様の為なんかに俺(三仏神)の金を使わなきゃならねーんだよ!!」
「だって、パウダービーズだぞ!?」
「そんなの関係あるか!!」
三蔵はそのクッションを悟浄に投げつけようとしたが・・・。
「・・・」
「どったの?三ちゃん」
三蔵はクッションを持ってテーブルに戻った。そして、読みかけの新聞を手にして読み始めた。悟浄は三蔵の行動を見て、思ったことがある。パウダービーズを放さない。
「あのさー、三ちゃん?」
「・・・何だ」
「もしかしなくとも・・・それ、気に入った?」
「っ・・・黙れ!」
悟浄はそんな三蔵の反応が可愛いと思えてしまった。そして、無意識のうちに三蔵の後ろに来ていた。三蔵は悟浄を見上げて不機嫌そうにしていた。
「俺の後ろに来るな・・・」
「んー?でもさー・・・」
そう言って三蔵を後ろから抱きしめた。悟浄の突然の行動に驚いて三蔵は顔を赤くしてしまった。
「な・・・!?おい、エロ河童!!何しやがる!!」
「えー?だって、三ちゃん可愛いことしちゃってるし?それに、俺はパウダービーズよりもお前のほうが触り心地・・・っつーか、抱き心地良くってさ」
そう言われてさらに顔を赤くしてしまった三蔵。だが、三蔵はその言葉がすごく嬉しかった。
「くそ・・・河童のくせに・・・///」
「三ちゃん、好きだよー?」
三蔵はパウダービーズから手を放した。
「ん?どうかした、三蔵?」
悟浄は三蔵が自分の方を向いてきたことに少しびっくりして質問をしたが、三蔵はそのまま悟浄を睨みつけたまま。
「え・・・何?本当に??」
「俺の方が・・・」
「は?」
「俺の方が良いんだったらこんなの買ってくるな・・・バカッパ・・・金の無駄だろうが」
今度は三蔵が悟浄に抱きついてきた。
「はいはい、もう金の無駄遣いしないよ」
「信用できないな・・・」
悪態をつきながらも三蔵は普段よりやわらかい表情になっていた。それだけで悟浄は幸せな気分になった。
―その夜―
「なー、三蔵ー」
「・・・」
「俺のパウダービーズ、返せよー!」
金の無駄遣いだと言いながらも結構気に入っていた三蔵だった。
あとがき
なんとなく・・・。
パウダービーズって気持ちよくないですか?
大好きなんですよ〜、オレが(笑)
きっと、三蔵はじわじわと嵌っていくタイプだと思うんですよ。
最初は否定してるのに・・・みたいな。