幸せ
梅雨に入ってきたこの頃、悟浄と八戒は雨が降りそうな空を見て早めに買い物をしようと町へ出た。
「八戒〜」
「何です?悟浄」
「煙草も買ってもいい?」
「えぇ。ですが、控えてくださいよ?でないと早死にしますから」
「はいはい」
そんなほのぼのとした会話をしながら買い物をしていたため、時間は早く過ぎて行った。悟浄が煙草もお酒も買って満足した頃に家へ戻ろうとしたが・・・。
―ポツッ―
「あ」
悟浄が空を見上げると、暗くなってきた空から雫が降ってきた。
「・・・降ってきてしまいましたね・・・」
「って、のんきなこと言ってんなよ!早く帰るぞ!!」
二人は買い物袋を一つずつ持ちながら走り出した。
その間にも雨は強くなってきていた。家に着く頃には二人とも息を切らしてずぶ濡れだった。
「っあ〜・・・ヒッデー雨!」
「あはは、たまにはいいじゃないですか」
「だけどよー!買い物しても煙草とかも濡れちゃったしさぁ」
不機嫌そうに髪を掻きあげながら買い物袋から自分の煙草を取り出す。八戒はそんな悟浄の仕草が好きだった。少し見惚れていたが、悟浄のくしゃみで行動に出た。
「今、タオル用意しますね?」
煙草についた水を振り払いながら頷く悟浄を見てから八戒はタオルを取りに向かった。
「はい、悟浄」
「おう、サンキュ」
ガシガシと紅い髪についた水気を拭き取っている。少ししたらすぐに止めてしまったので八戒が溜息混じりに悟浄の髪を再度拭いてやる。
「ほら、そんな拭き方では全然水気が取れてませんよ?」
「あ?すぐ風呂に入るからいいんだよ」
「まぁ、貴方の場合はアレですから風邪は引きませんね」
「・・・それって・・・嫌味?」
「いえ?思ったことを言ったまでですよ」
悟浄は何だよそれー!と言いながら笑った。
こんな一時がすごく幸せで、すごく安心してしまう。八戒は拭き終わった悟浄の髪に指を通した。それに驚いた悟浄が八戒に振り返った。
「どうかした?」
「いえ・・・悟浄の髪は綺麗だなー、と思いまして・・・いきなりすみませんね」
そう言って悟浄の髪から指を離す。その瞬間、八戒は酷く指が冷たくなった気がした。濡れたタオルを洗濯機に入れようと向かったが、今度は悟浄が八戒の肩に手を置いた。
「・・・悟浄?」
「謝ることないって。俺、八戒にそう言ってもらえるのすごく嬉しいからさ」
子供のように笑う悟浄。そんな笑顔に八戒は目を奪われた。
「本当に貴方って人は・・・」
「?」
その先は言わなかった。その代わりに悟浄に笑顔を向けて洗濯機のところへ行った。悟浄は風呂場へと向かった。
きっとこの先、自分はあの紅に囚われ続けるだろうと確信した。けど、それもいいかと八戒は悟浄の髪に触れていた指を握り締めた。
あとがき
はい!(何がだよ)久々のUPにも関わらず、こんなへんてこな作品になりました。なんだか…八浄っつーか、浄八!?
いや、八戒が悟浄の髪を拭いてあげてるし…(汗)ね、ね!その辺りが八浄!
ってことで許してください(涙)