満月
「今日は下界の月が綺麗なんですよ?行きませんか?」
この日はシンに誘われてユダはシンと共に下界へ来た。
「ドコまで行くんだ?シン」
「一番いい眺めを見つけたんですよ」
そうって暫く地上を歩いていた。坂道に入ったりして少し時間がかかった。だが、その途中の山道でも明るく思えた。きっとシンが言っていた月の明かりのお陰なのだろうとユダはぼんやり考えていた。
「ユダ、着きましたよ!」
シンの声のするほうを向くと、こっちを向かないで夜空を見上げていた。それに倣ってユダも夜空を見上げた。
「これは・・・満月か・・・」
「どうです?ユダ、綺麗でしょう?」
「・・・そうだな」
ユダよシンは暫く静かに眺めていた。
「今日は・・・」
空を見上げながらシンは言った。ユダはその横顔が月明かりに照らされて綺麗だと思いながら、シンの話を聞いていた。
「今日は風が冷たくて夜空が綺麗に見えるようになってるんです。それに今日は満月。汚れた空気が綺麗にされていつもより綺麗に見えるんです。来てよかったですね」
「・・・そうだな・・・」
ユダはこんなに嬉しそうに話をするシンを見るのが好きだった。
「今日はどうして俺を呼んだんだ?他のゴウとかは誘わなかったのか?」
質問されたシンは少し顔を赤らめて俯いた。ユダはどうかしたのかと心配そうにシンの顔を覗き込んだ。すると、さらに顔を赤くするシン。
「あ・・・あの・・・ユダ?」
「何だ?」
少し間を置いてからシンは答えた。
「・・・今日は貴方とこの月を見たかったんです・・・その・・・イヤでしたか?」
シンはやはり俯いてしまった。恥ずかしいのだろう。そんなシンの姿をいとおしく思うユダがいた。
「そんなことはない・・・むしろ嬉しいんだ、シン。ありがとう」
お礼を言うとシンはまだ少し顔を赤くしながらユダのほうを向いて嬉しそうに微笑んだ。
「もう少し・・・もう少しここにいような、シン」
「えぇ・・・そうですね・・・」
お互いの横顔を綺麗だと思いながら隣同士で月を眺めていた。二人を明るく照らすように輝き続ける満月・・・。
―・・・綺麗・・・―