力
久しぶりに涼しい日が訪れた。ユダは珍しく一人で散歩なんてものをしていた。暫く歩いていると。
「あ・・・ユダ」
自分が大好きな声が聞こえてきた。
「シンか・・・」
「こんにちは。どこかへ行かれるのですか?」
「いや、久しぶりに丁度良い気候になったからな。少し歩いてみようかと思った」
「そうですか・・・」
「・・・シンは何をしているんだ?」
「わたしですか?わたしは先程ゴウと手合わせをしようと約束をしていたのですが・・・用事が入ってしまったらしく暇を持て余していたんです」
シンは自分がここにいる理由を説明した。ユダはそうか・・・と言った。少し考えてユダはシンに提案をしたのだ。
「・・・シン、今暇なのだろう?」
「え?えぇ」
「だったら今からおれと手合わせをしないか?」
「ユダとですか!?」
何でか驚くシンにユダは驚きながらもシンの返事を待った。シンは落ち着いてきたらしく、次の言葉を発した。
「えぇと・・・わたしなんかでいいんですか?」
「おれは、シンがいいと言ったんだ。どうする?」
「貴方がいいのでしたら喜んで」
シンは嬉しそうに微笑む。ユダもそれにつられて微笑む。二人は何処か広い場所を探しながら歩き始めた。
話をしていた所為か、意外と時間が早く過ぎたと思った。だいぶ歩いたはずなのにそんな感覚がない。とにかく、ユダとシンは手合わせできそうな場所に出た。
「・・・ここならいいですね」
「あぁ」
ある程度距離をとると、二人は同時に身構えた。
「それでは・・・」
「行くぞ」
ユダの声をきっかけに二人は始めた。
流石は六聖獣の二人。殆ど無駄のない動きを繰り広げていた。シンはユダの攻撃を正確にかわし、次の行動を予測しながら自分の動きも制限している。ユダもシンの攻撃をかわしている。シンの攻撃をまた自分の攻撃へと変えていく。
「流石ですね、ユダ」
「そういうシンもな」
二人はそんな会話も交えながら手合わせを続行していた・・・が。
「・・・っ」
一瞬足元に気を取られてしまったシンはユダの攻撃を少し受けてしまった。そのため、シンの右肩から血が出てしまった。
「シン!大丈夫か!?」
それに気付てすぐにシンの側に駆け寄った。ユダに気を使わせないようにシンは笑顔で答えた。
「大丈夫です。ただ少し肩を掠めただけなので・・・」
「だからと言って・・・血がでてるな。おれの能力で治してやるからじっとしてろ」
そう言ってユダはシンの肩に自分の唇を寄せた。すると、シンは自分の肩から感じていた痛みが引いていくことが分かった。それが完全に引いたらユダの唇も離れていった。傷口を見てみると、もう傷なんて何処にもなかった。
「ありがとうございます。ユダ」
「いや、もとあと言えばおれが傷を負わせてしまったんだ。すまなかったな」
「手合わせなんですから当然ですよ」
確かに、手合わせのときには怪我が付き物だ。
「しかし・・・おれはお前を傷つけたくないんだ。それが、こういう手合わせでもな・・・」
「ユダ・・・?」
シンが・・・自分が愛おしく思える相手が目の前で傷つくのは嫌だ。傷を負わせないために自分は強くなる。そして。
「お前が傷を負ってもおれがお前を助ける。そのための能力なんだ」
ユダの唇には癒しの能力が宿っている。
「おれは、お前を守る。そのために強くなり、また傷を癒す。それができることが嬉しいんだ」
「ユダ・・・わたしも貴方を守りたいんです。わたしにとって貴方は大事な人なんですから」
恥ずかしがりながらもそう言ってくれた。ユダはその瞬間、シンを抱きしめた。シンは更に顔を赤くして離れようとしたが、ユダは腕の力を強めた。
「シン・・・好きだ」
「えぇ・・・わたしも貴方が好きです」
この力は
大事な人を・・・
愛する者を守るためにある