俺は独占欲が強いんだよ
だから
誰もあいつに触るな
誰もあいつを見るな
あいつに触れていいのは俺だけだ
あいつの目に映っていいのは俺だけだ
独占欲 ―プロローグ―
いつものように今日も仕事がなく、波児の所で暇を潰していた時、突然カランッというドアの音に皆が反応をした。
「あ、士度!」
「今日もコーヒー飲んでいく?」
銀次と波児は今やってきたばかりの士度に色々と質問などをしていた。
「あぁ、今日はもう仕事が終わってコーヒー飲みに来ただけだからな」
士度は少し嬉しそうに言った。それを見て銀次は士度に近づいた。
「・・・何だ?銀次」
「ん〜・・・士度ってさり気に照れてる?」
「!?」
正面からそう言われて不本意ながら顔を赤くしてしまった。
「あ、士度!それ図星ってや・・・」
「うるせー!!」
銀次の言葉は士度の軽い拳によって途切れた。それでも銀次は嬉しそうに笑って、士度は照れながらも銀次の傍から離れなかった。
「じゃ、士度もこっちに座ってコーヒー飲みなよ!」
「おぉ・・・」
手を引かれながら席に座らせられた士度は幸せそうに照れていた。
だが、そんな空気に合わない人物がいた。それは。
「あれ?蛮ちゃん、機嫌悪い??」
「・・・何でもねーよ」
銀次は『?』というマークが頭上に飛んでいるとでも言っているような表情をしていた。だが、本能的にあまり近づかないほうがいいと思ったので士度の側に行った。近くに行ったら行ったでまた幸せそうに笑う士度を見て更に蛮は苛立ちを覚えた。
―あいつに近づくな・・・―
蛮の中に秘められている闇の部分がだんだんと表に出てきて光を支配しようとしていた。
「士度!これも食べない?」
「おい・・・お前が食いたいだけじゃねーか?」
「んぁ!?そんなことないって!」
「ったく・・・わかったよ・・・銀次、特別に俺のおごりだ」
「本当!士度、ありがと〜vv」
「・・・て、ひっつくな!!」
そんな光景を目の当たりにして蛮の闇は更に出てきた。
―誰もあいつに触るな・・・
誰もあいつを見るな・・・
あいつに触れていいのは俺だけだ!
あいつの目に映っていいのは俺だけだ!―
そして、蛮は自分の独占欲の強さに驚きながらも自分のモノにするためにある方法を思いついた。
―・・・だったら・・・―
考えがまとまった頃に立ち上がって士度に一歩一歩近づいた。銀次の横を通過しようとした時に確認するために自分に言い聞かせた。
「やることはこの世からの奪還・・・ターゲットは・・・冬木士度・・・」
「・・・え?蛮ちゃん?」
銀次は何か聞こえたような気がして蛮に聞いたが無視されてしまったのでまぁいいかと今度はカウンターの中に入っていった。
「よぉ、猿まわし」
「・・・何だよ、蛇ヤロー?」
いつもの士度とのやり取りを暫くし奪還の機会を伺っていた。だが、銀次なども話しに入ってきたりして中々チャンスが見つからない。士度が銀次や波児と話す姿を見たくなかった。
―大丈夫だ・・・
こんなつらい気持ちも今日で終わりだ・・・―
蛮は自分に言い聞かせていたときにチャンスは訪れた。波児はコーヒー豆を買いに出かけ、銀次は赤屍を見つけて店を出て行った。士度と二人だけになった空間。こういう空間も蛮は好きだった。士度がコーヒーを飲み干した頃を見計らって話し掛けた。
「・・・おい」
「あ?」
「猿まわし、これから俺に付き合え」
「はぁ?お前、何言って・・・」
「いいから!」
蛮は無理矢理士度の腕を引っ張って店から出ていった。
―奪還内容―<この世からの奪還>
―ターゲット―<ビーストマスター・冬木士度>