お前に『夢』見せねーよ


お前には・・・


俺だけで十分なんだよ


なぁ?


士度・・・











 

独占欲 ―第二話―

 











―お前は俺のモノなんだよ―






 士度が最後に聞いた言葉だ。

「・・・ん・・・?」

士度が目を覚ましたらしい。

「よぉ、猿まわし」

「美堂・・・?俺は一体・・・!?」

士度は少し腹が痛んでその部分を押さえようとして手を動かした・・・はずなのに動かない。






「な・・・!何だよ、これ!!」






 両腕を頭の上で一つにまとめられ、両足は柱に繋げられていた。首にも鉄の鎖があってそれらは全て壁に繋げられていた、ということは自由を奪われてしまったのだ。

「美堂!コレはどういうことだ!?」

士度は目の前の蛮の姿を確認してそちらを睨みながらそう言った。

「何とか言ったらどうなんだ!」











―そう、今は自分しか頼る奴はいない―











 ちょっとした満足感が蛮を支配した。

「・・・気が付いたのか?士度」

「だから!何で俺は・・・」

「お前が悪い・・・」

突然目の前に蛮の顔が現れて士度は少なからず動揺をした。その顔はいつもの蛮ではなく、何かに取り付かれたように怖かったのだ。


「お前が俺を見ないからだ・・・」


「何言って・・・?」


「お前が他の奴ら・・・銀次とかしか見てないから・・・」


「ちょっと待て・・・」


「今日だって無限城に来てからは俺とお前だけだった・・・それなのに糸巻きとかに目を向けて・・・」


「それは、ただ親友として話をしていただけだろ?別にお前を忘れたわけじゃ・・・」






「それでも!」






一段と大きな声が当たりに響き渡った。

「それでも嫌だったんだ・・・俺にはお前しかいないのに、お前には俺以外にもいる・・・」

「お前にだって銀次がいるじゃねーか・・・それに、他にも・・・」

そう言うと、いきなり肩を掴まれて壁に押さえつけられた。骨折れそうなほど強い力だったから士度は少し唸った。

「俺以外の奴の名前を口にするな!」

「・・・ってめー・・・いい加減にしろ!」

士度は反抗するが、自由を奪われているためにあまり効果が無かった。

「今のお前に何が出来る?自由を奪われて飯も食えない、動くことさえ出来ない・・・俺がいなきゃ何も・・・」

「出来るさ・・・お前なんかに頼らなくてもな!」

士度の声が響き渡って次々とネズミ達がやってきた。

「俺にはこいつらがいる。お前に・・・」

「それだけか?士度」

蛮はスネークバイトを放った。それは、ネズミに当たらなくても地面から出てきた石などでネズミ達の命を奪うことくらいは出来た。


























「コレでお前の味方はいないぜ?」






「美・・・堂?お前、本当にどうしたんだ?」


























 士度は普段こんなひどいことをしない蛮に違和感を覚えた。何かが違う。でも、その何かが分からない。嫌な恐怖に襲われて冷や汗をかいた。

「・・・俺が怖いのか?」

「本当に美堂か?」

その質問には笑って答えた。

「ははっ!何言ってんだよ?正真正銘の美堂蛮様だよ」

蛮は士度の近くに歩み寄った。その度に士度は下がろうとするが、壁や鎖が邪魔をしていて思うように動かなかった。

「士度・・・」

士度の顔に蛮の手が触れた。蛮は満足気に士度を正面から見据えた。

今は自分の手の中にある。このぬくもりは今、俺のものだ・・・。それだけで幸せになれる自分は何て怖いのだろうと思ってしまう。

「さ・・・わるな!!早く外せ!」

自分よりも年上で周りにはマドカや動物がいて近づけなかった。けれど、今はこんな近くにいる。






「マドカが・・・」



―また別の奴の名前を・・・―



「マドカやあいつらが・・・!!」






「うるせぇんだよ!!」






蛮は士度の顔に触れていた手を離してまた壁に押さえつけた。

「って・・・ぇんだよ!いい加減にしないと本気で・・・」

「出来るのか?」

そう言って蛮は思いっきり士度の唇を自分の唇で塞いだ。

「んん・・・!!?」

最初の衝撃が痛かったらしく士度は目を瞑った。蛮は士度のそんな表情を初めて見るから目を開けたままだった。

「やめ・・・っ・・・ん!」

必死の抵抗も蛮の握力と鎖でそれは無意味に近いものとなっていた。蛮は自分の思いどうりになるという優越感に酔っていた。だが、自分も息苦しくなってきたので名残惜しそうに唇を解放した。銀色に光る糸が引いていた。

「はぁ・・・な・・・何トチ狂って・・・ん・・だよ・・!!!」

顔を赤くしながら息を上げている士度は普段とは全く違って見えた。

「何だ?もう息が上がってんのか?」

「う・・・るせぇ!ともかく、俺はマドカの・・・」

「まだわからないのか?」

蛮はまた士度の顎を取ってキスを落としたが・・・。






―ガリッ―

士度と蛮の唇から赤い血が流れた。蛮は自分の血を舐めて満足そうに笑って構わずに士度にキスをした、士度はもう一度噛もうとしたが、先ほどの傷を舐められた。その痛みで噛めなく、逆に蛮の舌を迎えることになった。

「んん!!・・・っはぁ・・・ふ・・・」

蛮は士度の血の味を味わって満たされたらしく、先ほどより短いキスで終わらせた。

「な・・・」

「お前には俺だけなんだよ、士度?」

異様な恐怖に駆られながらも強気に蛮に接した。ここで呑まれる訳にはいかない。

「黙れ!ゼッテーお前には頼らねぇ!!」

士度は蛮を睨みつけたが、蛮は余裕の笑みを零していた。

「なーに粋がってんだよ?」

士度の顎から手を離して今度は頬を包み込んだ。

「お前、今の状況分かってる?」

蛮は士度の瞳に映った自分を確認しながら士度に言った。

「コレは・・・邪眼か?」

蛮は少し笑って今度は士度の首の鎖に口付けた。

「お前に『夢』は見せねーよ。お前には・・・」

「美・・・堂?」

「お前には俺だけで十分なんだよ・・・」





















―そう、お前は思い知るべきなんだ―

 

―お前には俺しかいないと・・・―

 

―俺にもお前しかいないように―

 





















「なぁ?士度?」

蛮は笑いながら士度の頬を解放した。そして、士度はまだ夢なのかとぼんやり考えながらその場を去っていく蛮を見送っていた。



















あとがき
 かなり久々…というか、UPを忘れていた作品です(苦笑)
これから裏みたいな部分が増えますので…そして、これは
士蛮です!!!
                                       2005.06.21

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